<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>

病院長からのメッセージ「医療クラーク」

2010年08月30日

 医療クラーク(医師事務作業補助者)

院長ブログ診療は先ず患者さんの訴えをお聞きすることから始まり、検査・治療へと進みます。医師は、臨床検査結果、CTやMRIなどの放射線検査結果などをもとに診察所見を併せて診断し、これら検査結果を記録として残すことが義務として求められます。そして、アメリカでは、医療クラークが外来でのカルテ(診療録)作成や、検査・手術記録などの事務作業で医師を補助しています。

検査をオーダーするのは、医師であることが法律で決められています。多くの指示を出し、その結果をカルテに残すなど、診療の他に膨大な記録の作成を求められます。例えば、手術後には手術記録を残し、また手術で切除した病変部を検査し、病理検査の依頼文書を作成します。アメリカでは、医師の口述記録を医療クラークが手術記録として作成し、医師の業務軽減が図られています。

      

患者さんに診療内容を説明し、同意を得ることが多くなっています(インフォームドコンセント)。身体への影響が大きい検査や、手術などを行う際には、病状の説明と検査や治療内容について説明します。その際に、説明内容の文章や図表と、同意文書が用いられます。これら文書の作成も医師の業務です。この文書作成に医療クラークが関与することで、医師はより丁寧に説明できることになります。このように、診療において必要な文書やカルテの作成を医療クラークが補助することで医師の負担が軽減され、本来の業務に集中することが出来るようになります。
日本でも、一昨年の診療報酬改定時に、医療クラークが働くことが許されるようになりました。具体的に許される業務として、医療クラークは、「医師の指示の下に、診断書などの文書作成補助、診療記録への代行入力、医療の質の向上に資する事務作業(診療に関するデータ整理、院内がん登録などの統計・等)並びに行政上の業務(救急医療情報システムへの入力・等)への対応」を行います。
富山市民病院はいち早くこのシステムを導入し、平成20年4月から医療クラークを雇用し、現在では15名の医療クラークが働いています。当院での業務内容の主なものは、診断書などの書類作成、診療記録要約(サマリ−)の整理、学会や講演会、勉強会に使用する資料の作成、外来および入院患者データ、手術症例の登録・整理などです。この中で最も医師の負担軽減になっているのは、年間5千件を超える診断書・証明書の作成補助です。

診断書や証明書は、患者の皆さんが療養する際に必要な大切なものです。診断時に作成できる比較的簡単なものから、生命保険の入院証明書や介護保険主治医意見書、傷病手当証明書、傷害年金診断書など多くの記載を要するものまであります。保険会社の証明書は保険金に関するため、正確で詳細な記述が求められます。これまでは、医師が診療の合間を見て、あるいは時間外に書類を作成していました。これら書類作成に医療クラークが補助してくれるようになり、医師の負担は軽減しました。その結果書類作成までの時間が短くなり、皆さんの下へ早く書類が届くようになっていると思います。
 これらの書類には、多くの個人情報が含まれます。このことへの配慮が出来なければ、医療クラークの仕事は成り立ちません。また、医療用語の知識が必要です。32時間を超える、情報管理、個人情報保護、医療法規、医療安全などについての研修を終えて、医療クラークとして働くことができます。これから、医療クラークが働く機会が増えてくると思います。医療クラークに対する皆さんのご理解とご協力を御願いいたします。

投稿者:富山市立 富山市民病院at 11:00| 病院長のブログ