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富山市立富山市民病院
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病院機能評価マーク
電話番号 076-422-1112
〒939-8511 富山市今泉北部町2番地1
  法人番号 9000020162019

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診療各科・各部のご案内

各科専門外来の設置や集中治療室を整備し技術向上に努めます。

各科のご案内

呼吸器・血管外科

 
医療機関名
富山市立富山市民病院呼吸器・血管外科、日本呼吸器外科専門医制度基幹施設、日本胸部外科学会指定施設、日本呼吸器内視鏡学会認定施設

治療できる病気について

Ⅰ)呼吸器外科の病気
肺がん
①原発性肺がん
肺および気管支から発生したがんのことを原発性肺がんといいます。各種のがんの中でも「肺がん」の罹患(りかん=病気にかかる)率は第3位、死亡者数は、1998年以来第1位となっています。また最近は、女性で非喫煙者にも腺がんに罹患する患者さんが増えてきています。予後が悪いと言われる肺がんですが近年の画像検査と手術テクノロジーの進歩によってその成績は改善されてきています。例えば胸部のCT検査画像はより高解像度となり、淡い、あるいは小さな病変のうちに診断ができるようになりました。治療においても手術ではより低侵襲(ダメージが小さい)な胸腔鏡手術の普及によって、手術による合併症や術後の患者さんが受ける悪影響が大幅に低下しました。その結果、より早期の状態で手術を受けられた方の5年生存率は80%を超えるところまで改善しました。一方、進行した肺がんに対しても手術前後の補助療法(放射線治療や化学療法)と手術との組み合わせや、分子標的治療などの進歩により従来では治療が困難であったような病態でも治癒に至ることが増えてきました。基本的には早期のがんでは手術を第一選択とし、比較的進んだがんの場合には化学療法(放射線同時治療)の後、完全切除の可能性があれば手術を、かなり進行した状態の場合には原則的に化学療法が治療の基本となります。
近年ではがん組織の遺伝子を直接調べることで、特定の遺伝子に変異があった場合にはその遺伝子を標的として治療する「分子標的治療」が登場しました。効果が期待できる場合には再発の予防に使用されたり、従来の抗がん剤治療よりも先んじて治療適応になる場合もあります。これらの多角的な治療コンビネーションにより肺がん治療はより患者さん個々に適応したテーラーメード型に向かいつつあります。
リンク:肺がんの胸腔鏡手術 

 

②転移性肺がん
肺以外の臓器にがんがあり、かつ肺に転移病巣が見つかった場合に、これを転移性肺がんといいます。肺に転移しやすいがんとしては、大腸がん(直腸がん)、乳がん、腎がん、生殖器がん、また肺がんから別の部位への肺転移などがあります。原発巣(元の臓器のがん)が切除治療などによりコントロールされていて、かつ肺転移の個数が増えない場合には転移性肺がんに対して手術が検討されます。その場合の手術適応は「転移がんの完全切除の可能性がある」ことです。一般的には原発巣の切除手術後に化学療法などの薬剤による全身治療を行い、肺転移病巣に対する手術、そして再び全身治療、というように肺の手術前後を薬剤治療で挟み込むいわゆる「サンドイッチ治療」が行われることが多いです。また、切除した肺の病巣を病理検査で詳しく検証することで、薬剤治療がどの程度効果的に作用していたのか、を知ることにも大きな意義があります。近年は薬剤治療の「効く・効かない」を事前に予測するためにリバイオプシー(再生検検査)を行って、より効果的で無駄のない治療を行うことが推奨されてきています。このような場合には完全切除を行うのが目的ではなく、できるだけ体に影響を与えないようにして病巣の一部を切除してリバイオプシーに提出するための胸腔鏡手術にも当科は積極的に対応しています。

 

縦隔腫瘍(胸腺腫,胸腺がん,嚢胞性腫瘍,神経性腫瘍など)
胸部外科領域で肺がんと並んで頻度の高い疾患として縦隔腫瘍があります。「縦隔」とは臓器の名称ではなく、右と左の胸腔を「縦に隔てている」胸部中央の場所あるいは部位の名前です。縦隔には心臓、大血管を始め気管、食道、脊椎(脊髄)など重要な臓器が狭い空間に目白押しです。その他に胸腺や神経、リンパ組織などが存在します。縦隔腫瘍はこれら諸臓器や構造物の組織を母地として発生する腫瘍、ということになります。悪性腫瘍、良性腫瘍及びその中間型の性格を持った腫瘍などがありますが、良性腫瘍であっても手術を行うべき場合が多いことが特徴です。その理由として、前述のように「狭い空間」であるため良性腫瘍であっても周囲の臓器を圧迫する場合があること、悪性と良性の中間型の性格を持った腫瘍が多いこと、また解剖学的な理由から手術以外の方法で安全に組織診断検査が行いにくい場合には手術で検査と治療を一回で完結する方が安全で確実なことなどが挙げられます。
 縦隔腫瘍をその組織別にあげると、胸腺腫、神経性腫瘍、嚢胞性腫瘍、リンパ腫、そして奇形腫などの胚細胞性腫瘍といった順になります。これらは各種画像検査からある程度類推することは可能でも、手術前に組織として確定することはしばしば困難です。従って先述したように現在では手術による摘出で確定診断と治療を一度に行うことが最も合理的と考えられています。さて、その手術においては従来の開胸手術から胸腔鏡手術にだんだんと移行してきています。胸郭の変形などの後遺症や合併症、術後の疼痛などの観点から胸腔鏡手術が従来の開胸手術と比べてより有利で安全であることがわかってきました。これも以前に比べて手術が勧められるように変化して来た理由です。当科で行なっている手術の多くは胸骨や肋骨を切断せずに行う独自の「胸骨吊り上げ法」を用いた胸腔鏡手術です。従来の開胸手術では術後2ヶ月ほどは運動が禁止されていたのですが、当院での方法で手術する場合は2週間で運動に復帰できるようになり患者さんの生活に恩恵を与えています。
リンク:胸腔鏡下縦隔腫瘍切除手術

 

気胸
気胸とは、何らかの理由により肺の表面を覆っている「胸膜」いう膜が破綻して肺内の空気が胸腔(肺を収納する空間)に漏れ出ることによって肺自体がしぼんでしまう病気のことです。気胸には胸膜のもろい部分が徐々に膨れていき(ブラと呼ばれます)これが破裂することによって起こる自然気胸、外傷が原因で発生する外傷性気胸、肺の別の疾病が原因となって胸膜が破綻する続発性気胸、女性の生理周期に伴って発生する月経随伴性気胸など、原因によっていくつかの分類があります。
若年者の自然気胸の多くは成長期に体格が急激に縦方向に伸びることによって、肺尖部(肺の最も上部)がより先鋭化し、強い圧力が加わることによってブラと呼ばれる風船状の嚢胞が形成され、破裂すると考えられます。マヨネーズなどの容器を押すとどこに最も強い力が作用するかをご想像いただくと理解がしやすいかと思います。一方で、高齢者の自然気胸ではブラの破裂ではなく、じん肺や線維化肺などで肺胸膜が硬くなってひび割れるように避けて起こる気胸もあります。こちらは古いゴム版を想像していただくと理解しやすいかと思います。
気胸に対しての治療は、①縮んだ肺を再拡張させて呼吸を安定させる作業と②破綻した部位を閉じて空気漏れを塞ぐ作業に分かれます。これら二つの作業を一度に行うのが手術、①に対しては持続ドレナージ、②に対しては癒着療法があります。軽度の気胸では持続ドレナージのみで生体の自然治癒力により治る場合があります。しかし、持続ドレナージでも良くならない場合、明らかなブラが確認された場合、ブラ内の感染が契機となっている場合、気胸が再発した場合などは手術を行うことが強く勧められます。

 

手掌多汗症
 手掌多汗症とは手のひらに「異常に汗をかく」状態のことをいいます。私たちの血圧や心拍数、発汗などは自律神経によって制御を受けています。いわゆるテンションを上げる「交感神経」とα波が出てリラックスさせる「副交感神経」がうまくバランスを保って生活しています。交感神経が優位なときは文字通り「手に汗握る」状態になります。しかし、これが過度となると試験の際に鉛筆が滑ったり、スポーツの試合でラケットが滑ったり、また運転中にハンドルが滑ったり、といった生活に大きな支障が生じる状況が出現します。
 このような「日常生活に重大な支障」が生じると手術治療の適応となります。手術方法は胸部の交感神経で「手のひらの汗」を制御している神経節、通常は3番と4番の交換神経節を完全に電気的に焼灼切断あるいは切除することを行います。手術の効果は手術終了直後から手のひらが乾燥してくることで確認できます。
この手術は胸腔鏡を用いて行い、比較的安全に短時間でできること、そして何より効果が確実であったために、一時期全国で広く行なわれました。しかしながら、手の発汗を止めたことによる「代償性発汗」という合併症も発生する事がわかりました。「代償性発汗」とは手のひらに汗をかかなくなった代わりに、背中、お尻、足のうらなどに多量の汗をかく症状です。しばしば発汗の程度が非常に多い場合があり、今度は代償性発汗のために日常生活に重大な支障をきたす患者さんも複数報告されました。重大な問題点として代償性発汗は「後戻りできない」ことがあります。それゆえにこの手術は、近年はあまり行われなくなってきました。
 そこで当院ではこの手術において、あえて交感神経節をすべて焼灼切断せずに、神経繊維を「部分的に神経をわずかに残すような」焼灼を行うという改良を行いました。胸腔鏡で神経節を慎重に確認しながら、おおよそ80%の神経繊維を焼灼し、20%ほどをそのまま温存するように手術を実施しております。その結果、手のひらが乾きすぎることを防ぎ丁度よい湿り気を保ちつつも、かつ代償性発汗を大幅に低下させられることが可能となりました。手術を受けた患者さんからはとても高い満足度をいただいています。ところがこの方法にも若干の欠点があります。それは、数年〜十数年でその効果が消失し元に戻る可能性がある、ということです。しかしながら、当院の手術方法は繰り返し施行可能であることと、十数年を経過すると患者さんご自身も「それほど過度に緊張しない年齢」に達するため、再手術自体を必要としないことも予想されます。患者さんの人生をトータルで考えると、後戻りできない手術よりこの方法がよりよいものであると考えています。

 

Ⅱ)血管外科の病気
腹部大動脈瘤

腹部大動脈瘤はお腹にある大動脈(腹部大動脈:血液が流れる動脈の本幹)が動脈硬化などの要因で膨らんだ状態になっている病気です。腹部大動脈の正常値は2cm程度であり、正常の1.5倍程度の膨らんだ状態を腹部大動脈瘤と呼びます。腹部大動脈瘤はかなりの大きさにならないとお腹の表面からは触ることはありません。そのため、この腹部大動脈瘤は、他の病気で腹部超音波検査や腹部CT検査を行った際や人間ドックの検査で、偶然に発見される場合がほとんどです。
腹部大動脈瘤は、ほとんどの場合無症状で経過します。この病気の怖いところは、大動脈瘤が破裂した場合に命にかかわる状況に陥るという事です。大動脈瘤の破裂と大動脈瘤の大きさとは、はっきりとした因果関係は報告されていませんが、一般常識的に大動脈瘤の大きさが大きくなってくると破裂する危険性は高くなると言えます。また、大動脈瘤の破裂を予測できるような特徴的な症状はあまりないという厄介な病気です。大動脈瘤の破裂の症状は、突然発生する腹部や背中の激痛(人生で経験したことが無いような激痛と表現されます。)、血圧低下によるショック状態、意識消失など重症な症状となります。
腹部大動脈瘤では一度膨らんだ大動脈は薬などで小さくなることはなく、1年ごとに少しずつ大きくなっていきます。腹部大動脈瘤の治療の原則は、破裂する前に治療するという事です。具体的には4~5cm程度の大きさになった時点で、治療を考えることが勧められています。治療方法としては人工血管置換術やステントグラフト内挿術が広く行われています。当院での手術方法は下記のリンクをご覧ください。

リンク:人工血管置換術
リンク:ステントグラフト内挿術

日本血管外科学会「血管の病気について(腹部大動脈瘤)」のページへのリンク
http://www.jsvs.org/common/hukubu/index.html

 

閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)
閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)は、高脂血症などによって引き起こされた全身の血管の動脈硬化の病気の中で、お腹にある腹部大動脈から足先の動脈までの血管に障害が起きた病気の総称です。”閉塞性”とは”動脈がつまる事”を意味し、閉塞性動脈硬化症とは、主に足に血液を流している動脈が、つまってしまい血液が流れなくなり、その結果として足が痛くなったり、足が腐ってしまう病気です。

初期の症状としては、日常の散歩や通勤、買い物などで1Kmほど歩こうとした時に、500mほど歩くとお尻や太ももや足のふくらはぎが痛くなって歩けなくなる。そして5分ほど立ち止まって休んだら再び歩けるようになる。という事が繰り返し起こるという「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」という症状が特徴的です。この状態を放置しておくと、歩かない状態で足が痛くなったり(安静時痛と呼びます)、足がしびれたりする症状に進行し、最終的には足先が腐ってくる(下肢壊疽)という状況に陥ります。高齢者で日ごろ歩かないような方では、間歇性跛行の症状を飛び越して安静時痛や下肢壊疽の状態で来院される場合が増えてきています。また、糖尿病などで手足の神経障害の合併症を持っている方では、足先の痛みを感じないため、安静時痛の状態を飛び越して下肢壊疽という状況で発見される場合も増えてきています。

治療方法としては、薬物療法や下肢動脈血行再建手術、血管内治療(ステント留置手術)などがあります。閉塞性動脈硬化症と診断された方は動脈硬化の病気が、たまたま足に行く血管に発生して症状が出た方々であるため、他の血管特に、脳の血管や心臓の血管に動脈硬化の病気を併せ持っている頻度が多い特徴があります。そのため、閉塞性動脈硬化症の治療に際しては、脳梗塞などの脳血管の病気や狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気に注意して治療を進める必要があります。

閉塞性動脈硬化症の早期発見には、足の血圧を測定するという事が勧められています。一般的に足の血圧は腕の血圧より若干高いと言われています。足の血圧が腕の血圧の90%以下に低下している場合は、心臓血管外科や血管外科などの専門医の受診をお勧めします。間歇性跛行などの症状が出てくる場合は、足の血圧が腕の血圧の50%程度まで低下している場合が多く、下肢壊疽などの場合は、足の血圧が測定できないという場合もあります。足の血圧検査は「血圧脈波検査」と呼び、開業医さんで検査できる病院もあります。当院のように「血管ドック」という人間ドックを実施している病院もあります。
当院での手術方法や血管ドックは下記のリンクをご覧ください。

リンク:下肢動脈血行再建手術
リンク:血管内治療(ステント留置手術)
リンク:血管ドック(「病院HPの「人間ドックの種類」のページ
http://www.tch.toyama.toyama.jp/sinryou_info/kakubu_info/ningendokku.html

日本血管外科学会「血管の病気について(末梢動脈疾患)」のページへのリンク
http://www.jsvs.org/common/masyo/index.html

 

下肢静脈瘤
下肢静脈瘤は、立ち仕事に従事する人に起こりやすい病気で、足の太ももあたりからふくらはぎにかけて数珠状の静脈ふくらみが出現してくる病気です。この病気は女性に多く、出産を契機に発症する場合が多くみられます。
下肢静脈瘤の原因はあまり知られていませんが、足の付け根にある静脈の逆流防止弁が何らかの原因で壊れ、足先に血液が逆流するため足のふくらはぎの静脈がふくらみ数珠状に変形してしまいます。
一度ふくらんだ静脈瘤は自然に元に戻ることはなく、徐々に症状が進んでいきます。最初は美容的に静脈瘤が見えるだけですが、次第に下肢の重さ、だるさ、疲れやすさ、下肢のむくみ、こむら返りなどの症状が出現します。この症状は、朝起きた時は良いのですが、午後特に夕方になるとひどくなってくる特徴があります。また、静脈瘤が原因で起きるこむら返りは、就寝時の早朝によく発生する事が知られています。
治療方法としては、保存療法としての弾性ストッキング療法、手術方法としてはストリッピング手術による静脈瘤切除、カテーテル治療による下肢静脈瘤血管内焼灼術、静脈瘤を注射薬で詰める硬化療法などがあります。
当院での実施している下肢静脈瘤血管内焼灼術は下記のリンクをご覧ください。

パンフレット:下肢静脈瘤レーザー治療パンフレット(PDF1.2MB)

リンク:下肢静脈瘤血管内レーザー焼灼術

日本血管外科学会「血管の病気について(下肢静脈瘤)」のページへのリンク
http://www.jsvs.org/common/kasi/index.html

 

うっ滞性静脈炎
うっ滞性皮膚炎とは下肢静脈瘤により静脈の逆流が進行して下肢(特に足首周辺)の静脈圧が高くなり、湿疹やかゆみや痛みを感じるようになったり、皮膚が硬く、黒く色素沈着を起こしたりする病気です。この状態がさらに悪化すると下肢に潰瘍を作る事があります。また、表面的に静脈瘤がはっきりしない方でも、下肢静脈の逆流により同様の症状を引き起こすことがあります。一般的には、下肢に出来た皮膚潰瘍(皮膚の傷)が3~6ヶ月も治らないという訴えで来院されます。
うっ滞性皮膚炎の治療としては、下肢静脈の逆流がある場合と無い場合で治療方法が異なってきます。下肢静脈の逆流が無い場合は、安静と下肢挙上、弾性ストッキングによる圧迫療法を行います。一方で、下肢静脈の逆流がある場合は、静脈逆流を遮断する目的で下肢静脈瘤血管内焼灼術や内視鏡下不全穿通枝切離術をおこないます。
当院での実施している下肢静脈瘤血管内焼灼術や内視鏡下不全穿通枝切離術は下記のリンクをご覧ください。

リンク:内視鏡下不全穿通枝切離術


深部静脈血栓症
深部静脈血栓症とは、足の静脈の中に血の塊(血栓)が出来て静脈の流れをせき止めてしまう病気です。足のふくらはぎの筋肉内の小さな静脈の中に血栓ができる場合はあまり問題になりませんが、膝の裏側から太もも、お腹の中の静脈に血栓ができた場合は、症状が出てきます。
深部静脈血栓症の症状としては、片足のふくらはぎから太ももにかけて急に腫れあがり、痛みが出現してきます。一般的には痛みのため歩きにくいという状態になります。このような症状は、長時間のドライブや長時間飛行機に乗っているように長時間同じ姿勢を保っていた時や病気などでしばらく寝ている時などによく発生します。症状のほとんどは片足に出現します。両足に症状が出ることは、極めてまれです。また、経口避妊薬や一部の薬剤を内服している副作用で、深部静脈血栓症を発症する場合があります。
治療としては、抗凝固剤の使用による抗凝固療法を行います。症状が強い場合は入院して治療が必要となる場合もあります。
深部静脈血栓症で怖い事は、足の静脈の中に出来た血の塊(血栓)が血流によって心臓まで流れて行き、最終的に肺に引っかかった状態になり肺の血流をせき止めてしまう肺塞栓症を引き起こすことです。肺塞栓症はいわゆる“エコノミークラス症候群”と呼ばれている病気です。肺塞栓症を引き起こした場合は、胸痛、呼吸困難などの症状が出ますが、重症の場合は心停止状態を引き起こし死に至ることもあります。肺塞栓症の治療としては、抗凝固療法や血栓摘出手術などがありますが、いずれにしても専門医のいる病院での入院治療が必要となります。

日本血管外科学会「血管の病気について(深部静脈血栓症)」のページへのリンク
http://www.jsvs.org/common/sinbu/index.html#Cont01


足の皮膚潰瘍
潰瘍とは皮膚の一部に傷ができて皮下組織が露出してくる状況のことです。皮膚潰瘍の原因には様々なことがあります。特に足にできる潰瘍の原因としては、皮膚への圧迫が原因として起きる褥瘡(じょくそう)、動脈の血流障害による壊疽性(えそせい)潰瘍・壊疽(えそ)、下肢静脈瘤などの静脈うっ滞が原因の潰瘍があります。
血管外科的な治療が必要となる病気は、動脈血流障害による壊疽性潰瘍・壊疽と静脈うっ滞性皮膚潰瘍があります。
動脈血流障害による壊疽性潰瘍・壊疽の特徴は、潰瘍のある側の足冷感、皮膚の紫色の変色(チアノーゼ)、痛みを伴っていることが特徴で、写真のような皮膚症状が見られます。写真のような状態の場合は、早期の治療の必要がありますので、心臓血管外科専門医への受診をお勧めします。
 
 

 

 
静脈うっ滞性皮膚潰瘍の特徴は、潰瘍周囲の皮膚が黒色に変色している場合が多く、下肢の冷感やチアノーゼの症状は認めません。皮膚潰瘍は写真のような特徴があり、潰瘍は3か月以上治らない場合が多いです。
 
 

 
静脈うっ滞性を起こしている原因の静脈がはっきりと確認できる場合は、手術により根治することが可能となります。
 

 

手術について

 
 
 
 

Ⅰ)呼吸器外科の手術
胸腔鏡下肺切除手術
胸腔鏡手術とは文字どおり胸腔(肺を収納する胸部の空間のことです)に内視鏡を挿入しその映像を専用モニターで見ながら行う手術です。1990年代はじめに登場し、その後映像技術の進歩や専用器具の改良,手技の安定化に伴い2000年代後半から急速に普及しました。現在では本邦で行われる肺癌手術の50%超が胸腔鏡手術と言われています。
胸腔鏡手術では体にできる創が小さいため、体に及ぼす影響が少ない特徴があります。当院では直径1cm程度の数か所の創のみで行う「完全胸腔鏡手術」を行っており、術後の痛みの軽減、合併症の発生率、社会復帰までの時間の短縮など成果を上げております。

胸腔鏡下縦隔腫瘍切除手術
この手術は縦隔腫瘍の中で最も頻度が多い胸腺腫の摘出手術に対して実施します。縦隔は胸腔とは異なり広い空間のない部分です。もともと空間のない縦隔にどうやって安全確実な手術を遂行するに必要十分な空隙を確保することがこの手術の重要なポイントとなります。私たちは小さな皮膚切開から小さなプレートを胸骨の下に挿入し胸骨を吊り上げる胸骨吊り上げ法を開発し手術を行っております。(下図)。この方法により安全性を向上できたため、手術時間は従来の半分、術後平均在院日数は5日、そして何より術後10日での軽運動が可能となりました。


Ⅱ)血管外科の手術
血管内治療
 血管内治療とは動脈硬化による病気を血管の中から治療する方法です。手の肘部の動脈や足の付け根の動脈から治療用のカテーテルを挿入して治療を行います。動脈に針を刺して実施する穿刺法と小さな皮膚切開を行い動脈を露出して行う方法があります。
ステントグラフト内挿手術
 この手術は腹部大動脈瘤に対して行う手術です。一般的には両足の付け根を切開し、大腿動脈から腹部大動脈瘤めがけて特殊な人工血管を挿入していき血管の中で人工血管の内貼りを行い大動脈瘤への血流を遮断して治療する方法です。

ステント留置手術
 この手術は閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)に対して行う手術です。一般的には両足の付け根にある大腿動脈を穿刺して動脈内にカテーテルを挿入して治療を行います。動脈が狭くなっている部分(病変部分)まで先端に風船がついたバルーンカテーテルを移動させ、その部分で風船を膨らますようにバルーンを拡張させ狭い部分を広げます。バルーンで拡張しただけでは再び狭くなる危険性が予想される場合は、特殊な金属のメッシュ(ステント)を病変部分に留置して再び狭くなることを予防します。

日本血管外科学会「血管の病気について(ステントとステントグラフト)」のページへのリンク
http://www.jsvs.org/common/about/index.html

 

人工血管置換術
 この手術は腹部大動脈瘤に対して行われる手術です。お腹の真ん中部分を切開して腹部大動脈瘤を露出させます。特殊な道具で大動脈の血液の流れを遮断し、遮断している間に腹部大動脈瘤を取り除き、化学繊維で織られた人工血管を腹部大動脈と腸骨動脈に縫い付けます。人工血管を縫い終わった後で、血液の遮断を解除して血液の流れを回復させます。この手術はお腹を比較的大きく切開するため、体力の回復まで一週間程度かかります。

下肢動脈血行再建手術
 この手術は閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)に対して行う手術です。動脈の中で狭くなっている部分を迂回するような動脈の流れ(バイパス)を作る手術です。迂回する動脈の流れは、自分の静脈(大伏在静脈)を使用する場合と合成化学布でできた人工血管を使用する場合があります。手術の創はバイパスの入り口部分のと出口部分の二か所に手術創ができるのが一般的です。

 

ストリッピング手術・血管内焼灼手術
ストリッピング手術と血管内焼灼手術は下肢静脈瘤に行われる手術です。ストリッピング手術では病気の原因となっている大伏在静脈を引き抜く(取り除く)手術です。一方、血管内焼灼手術は病気の原因となっている大伏在静脈の中に特殊なカテーテルを挿入して血管の中からレーザー光や高周波を静脈にかけて、静脈を焼き壊し静脈内の血流遮断することで静脈瘤を治療する方法です。ストリッピング手術では足の付け根付近と膝付近の二カ所に小さな創ができます。血管内焼灼手術では、膝付近に小さな注射の後が残ります。

 

内視鏡下不全穿通枝切離術
内視鏡下不全穿通枝切離術はうっ滞性皮膚炎や皮膚潰瘍を認める方で、下肢の深部静脈から皮膚に血液の逆流がある場合に実施する手術です。深部静脈からの血液の逆流は穿通枝という静脈を介して起こるため、この原因の静脈を切断して血液の逆流を止めることを目的としています。この穿通枝という静脈は足の筋肉の下から出てくるため、一般的な皮膚切開を行って手術を行うと20cm程度の手術創が残ります。その問題を取り除くために膝付近に1cm程度の切開を行い内視鏡を挿入して問題の静脈を切り離す手術が行われています。しかしながら内視鏡下不全穿通枝切離術を行ってから皮膚潰瘍が完治するまでは3~6ヶ月程度の時間がかかる場合があります。

 

外来診療日

呼吸器・血管外科
呼吸器外科  
瀬川 正孝 * 初診/再診 * 初診/再診 *
土岐 善紀 * 初診/再診 * 初診/再診 *
嶋田 喜文 * 再診 * 再診 *
血管外科  
湖東 慶樹 * 初診/再診 * 初診/再診 *
関 功二 * 初診/再診 * 初診/再診 *

*8:30~9:30 予約再診

 

治療にかかる日数(入院期間)

【原発性肺がん】
Ⅰ)完全胸腔鏡下手術
入院日:手術前日の入院です。
心臓病や脳梗塞などで抗凝固・抗血栓治療薬を内服されている方は、手術の3-5日前に入院してだく場合があります。
入院期間:5-7日
退院後の生活の目安:退院1週後ごろに外来を受診していただきます。その間は激しい運動を避けていただければ、通常の日常生活を送っていただけます。
・手術成績開示(完全胸腔鏡下の肺がん標準手術)(葉切除・二葉切除・区域切除)
平均手術時間:2時間34分
平均出血量:100ml、輸血率:0%

 

Ⅱ)開胸下の拡大手術(気管支や肺血管、周囲臓器の合併切除を伴う場合)
入院日:手術前日の入院です。
心臓病や脳梗塞などで抗凝固・抗血栓治療薬を内服されている方は、手術の3-5日前に入院してだく場合があります。
入院期間:7-10日
退院後の生活の目安:退院1週後ごろに外来を受診していただきます。その間は無理をしない範囲で徐々に行動の質を取り戻していただけます。

 

【自然気胸】
Ⅰ)完全胸腔鏡下手術
入院日:気胸を発症後1-5日で手術となります。
入院期間:術後2-4日
退院後の生活の目安:退院5日後ごろに外来を受診していただきます。その間は激しい運動を避けていただければ、通常の日常生活を送っていただけます。
・手術成績開示(気胸根治術;肺部分切除)
平均手術時間:38分
平均出血量:3ml、輸血率:0%

 

【縦隔腫瘍】
Ⅰ)完全胸腔鏡下手術
入院日:手術前日の入院です。
心臓病や脳梗塞などで抗凝固・抗血栓治療薬を内服されている方は、手術の3-5日前に入院してだく場合があります。
入院期間:3-5日
退院後の生活の目安:退院5-10日後ごろに外来を受診していただきます。退院後は通常の日常生活を送っていただけます。
・手術成績開示(完全胸腔鏡下の胸腺全摘出術)
平均手術時間:1時間12分
平均出血量:8ml、輸血率:0%

 

Ⅱ)胸骨正中切開または開胸による手術
入院日:手術前日の入院です。
心臓病や脳梗塞などで抗凝固・抗血栓治療薬を内服されている方は、手術の3-5日前に入院してだく場合があります。
入院期間:7-10日
退院後の生活の目安:退院1週後ごろに外来を受診していただきます。その間は無理をしない範囲で徐々に行動の質を取り戻していただけます。


【手掌多汗症】
胸部交感神経切断術
入院日:手術当日の入院です。
入院期間:2日(手術翌日退院)
退院後の生活の目安:退院当日から通常通りの生活が可能です。退院翌日からシャワーを浴びていただけます。
・手術成績開示(完全胸腔鏡下の胸部交感神経焼灼術)
平均手術時間:29分
平均出血量:0ml、輸血率:0%
平均術後在院日数:1日

*手術成績は2016年4月から2017年3月までの当該疾患における全手術の平均値です

 

【腹部大動脈瘤】
Ⅰ)人工血管置換術
入院日:手術の前日の入院です。
心臓病や脳梗塞などでお薬を飲んでいる方は、お薬の調節の必要があり手術の2日前を目安に入院していただく場合があります。
入院期間:2-3週間
退院後の生活の目安:退院の2週間後に外来受診していただきます。 
それまでは無理をしない範囲で徐々に普段通りの生活していただけます。

 

Ⅱ)ステントグラフト内挿術
入院日:手術の前日の入院です。
心臓病や脳梗塞などでお薬を飲んでいる方は、お薬の調節の必要があり手術の2日前を目安に入院していただく場合があります。
入院期間:10日前後
退院後の生活の目安:退院の2週間後に外来受診していただきます。 
それまでは無理をしない範囲で徐々に普段通りの生活していただけます。

診病気のQ&A療実績

 

 

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