クリニカルパスについて
当院では、安全で質の高い医療ケアを実践するためにクリニカルパスを用いた医療を推進しています。当院で行っている手術の殆どがクリニカルパスを使用しており多い手術では9割以上の使用件数もあります。入院の経過を知りたいと思われたら、代表的なクリニカルパスをホームページ内に提示してありますので、ご覧になってください。
患者さんご自身にとっての目標は医師からの治療方針により、望ましい状態にまで健康回復される事だと思います。(クリニカルパス用語では患者アウトカムといいます。)患者アウトカム達成のために、医療者は行うべき業務・処置・説明・観察、記録をクリニカルパスに組み込み(クリニカルパス用語では医療者アウトカムといいます。)日々の業務を遂行しています。治療経過に何らかの異常がある場合(これをバリアンスと呼んでいます)は、早期に発見・対応をしていきます。バリアンスを集積し次の治療計画に繋げ、さらにより良いクリニカルパスを目指しています。
クリニカルパス委員会の活動
- 委員の構成:委員は、医師、看護師の他に薬剤師、臨床検査技師、放射線科技師、管理栄養士、理学療法士及び事務職員等の代表です。
- 委員会の開催:毎月1回の開催で、治療・薬剤・看護・検査・診療報酬など各委員の専門の立場から意見を出し合っています。
- 委員会の活動内容
1)パスの運用実績:パス症例は171種類あり、使用率は直近5年平均47%です
2)リスク軽減・医療費軽減:処方の入力ミスや薬剤の払い出しの間違いに繋がり、保管する薬剤も多くなり後発品に切り替えるなどして予測されるリスク軽減に努めています。又、無駄な医療資源の有無などについて他院とベンチマークを行い、パスを遵守するよう働きかけています。
3)クリニカルパス内の用語の統一:日本クリニカルパス学会の患者状態アウトカム用語集(BOM:Basic Outcome Master®)を電子カルテに組み込み、看護師が観察する項目を統一するMEDIS-DC看護実践用語マスターを紐付けしています。用語を統一することで院内外でのアウトカム評価が可能になり医療の標準化を行っています。また、看護師の観察項目が新人、ベテランを問わず疾患に応じて観察項目を抜けなく記録し、時系列の変化を医師が確認できるようにしています。
4)感染対策:外科系の手術においては手術部位感染(Surgical site infection,SSI)減少や耐性菌発現予防が重要となります。クリニカルパスに術式ごとに、適正な抗生剤の投与量と時間を組み込むことで感染対策を行っています。
5)スタッフのパスに対する教育:チーム医療の実践、医療の標準化の推進・医療の質と安全性を高めるためには、病院全体の職員がクリニカルパスを正しく理解し運用することが必要です。そのため年に数回は院内でクリニカルパス大会を開催し、委員によるクリニカルパスのミニレクチャーや、診療科毎のクリニカルパス発表会を開催しています。(コロナ禍であっても、院内のイントラネットシステムで情報を共有しました。)富山県や全国のクリニカルパス学会で発表しています。
新しい知見や情報を得て院内のクリニカルパスの作成に役立て、患者さんへの安心・安全な医療の提供に貢献して行きます。