ペインクリニック内科

ペインクリニック内科

診療科の特色

痛みは、身体に生じた異常事態を知らせる警告反応として大切な役割を持っています。しかし、痛みの原因が明らかとなったあと、残った痛みは私たちにとって有益な存在から不必要な、さらには有害な存在へと変わっていきます。警告の役割を終えた痛みが長く存在すると、より強い痛みや新しい痛みが現れてくる、いわゆる痛みの過敏化が生じます。痛みの過敏化には末梢から脳へと伝えられる神経経路で起こる感作と呼ばれる現象が関係しています。神経系に感作がおきると痛みの信号が脳へと伝えられる神経伝達の過程で、必要以上に痛み信号が増強され、脳へと送られている状態になっていきます。このような痛みの増強機構が関与した患者さんの痛みでは、一般的な痛み止め(鎮痛薬)の効果が乏しく神経の興奮を鎮める薬が有効であることが分かっています。また我々の体には痛みの伝達を抑制する神経経路が存在しており、本来伝えられるはずの痛み信号にブレーキをかける機能が働いています。しかし、痛みが慢性化している患者さんでは、この脳への痛みの伝達にブレーキをかける機能が低下していることも分かっています。痛みが長く持続すると、交感神経系が緊張して患部の血管収縮による血行不良や筋肉の緊張が亢進することなどにより痛みを起こす物質が多く発生し、痛みがさらに増強するという悪循環に陥ります。痛みによる悪循環を招かないためにも、我慢しすぎず、早い段階で対処することが重要です。当科では患者さんそれぞれの病期、病態に応じて神経ブロック治療、薬物治療などを選択しオーダーメイドな診療を行うことを心がけています。

ペインクリニックでは、痛みの原因検索と並行して、痛みを軽減するための治療を行っています。従来の医療では、腰痛などの慢性的な痛みがある場合、その原因疾患を診断することが重視され、原因が見つからない場合は痛みに対する治療が適切に受けられない患者さんが少なからずおられました。しかし、患者さんにとっては、原因以上に痛みそのものが問題になっていることがよくあります。当科では、早い段階で痛みを軽減する治療を開始し、患者さんの生活の質を改善することを目指します。

実績

日本ペインクリニック学会指定研修施設認定を受けています。

2019年度の新規外来患者数は100名、延べ通院患者数は2832名、入院治療患者数は18名です。1年間に行った神経ブロック治療として星状神経節ブロック、頸部、胸部、腰部、仙骨硬膜外ブロック、頸部、腰部神経根ブロック、末梢神経ブロック(腕神経叢ブロック、正中神経ブロック、伏在神経ブロック、坐骨神経ブロック、脛骨神経ブロック)、腰部交感神経節ブロック、不対神経節ブロックなどを行いました。頸椎神経根ブロックや末梢神経ブロックは超音波ガイド下に、腰椎神経根ブロックはレントゲン透視下に行います。交感神経節ブロックは当院ではCTガイド下に行うことが近年可能となり、安全面にも配慮して積極的に神経ブロック治療を行っています。薬物療法に抵抗性で、神経ブロック治療も効果が乏しい難治性疼痛患者さんに対する外科的治療として脊髄刺激療法(刺激電極を体内に挿入し、脊髄に微弱な電気を流すことで難治性の痛みを緩和する治療方法)も行っています。当院ではこれまでに5名の治療抵抗性の神経障害性痛、難治性疼痛の患者さんに脊髄の試験刺激(トライアル)を行い、1名が脊髄刺激装置を実際に体内に埋め込み、疼痛管理に使用しながら職場復帰をされています。

対応疾患

ペインクリニック内科では帯状疱疹後神経痛や腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛、下肢痛、頸椎症による首、肩、手の痛み、片頭痛や緊張性頭痛などの機能性頭痛、三叉神経痛、陰部、肛門痛、腹壁の痛み、手術後におこった痛み、外傷後の痛み、原因不明の痛み、複合性局所疼痛症候群、神経障害性痛など痛みの部位にかかわらずさまざまな痛みの治療を行っています。また痛みの治療ではありませんが、片側顔面痙攣、眼瞼痙攣に対するボツリヌス(局所的な神経筋伝達阻害作用により筋肉を弛緩させる作用をもつ薬剤)治療も当科で行っています。ご自分の痛みがペインクリニックで治療できるかどうか分からない場合でも当科に相談していただくことも可能ですので電話でお問い合わせください。

特徴的な検査・主な手術

ペインクリニックで行う代表的な治療は、神経ブロックという注射の治療です。神経ブロックとは、痛む神経の周辺や神経そのものに痛みを和らげる薬液を注入する治療方法です。神経ブロック治療は注射後短時間で作用するという特徴があり、痛みの過敏化が形成され、薬物療法のみでは痛みが軽減しない難治性の患者さんにも効果がある場合が少なくありません。ほかにも、患者さんの状態や病期、ご希望などに応じて、リハビリテーション、認知行動療法、運動療法などさまざまな治療方法を用いて患者さんの痛みにアプローチしていきます。総合病院である当院では必要に応じて内科、整形外科、精神科、リハビリテーション科など専門科の先生に相談しながら患者さんの痛みに対して多面的、多方向から治療を行っていくことができます。

外来診療日

週間担当医のページをご覧ください

医師紹介

松浦 康荘 (まつうら こうそう)

ペインクリニック内科部長・麻酔科医長

医学部卒業年
H11年
専門領域
麻酔科学・ペインクリニック
資格
麻酔科専門医(日本麻酔科学会)
ペインクリニック専門医(日本ペインクリニック学会)
学会
日本麻酔科学会
日本ペインクリニック学会
日本臨床麻酔学会


モットー
患者さんに応じたオーダーメイドな診療をこころがけています

永川 保 (ながかわ たもつ)

中央手術滅菌部主任部長
麻酔科部長

医学部卒業年
H3年
専門領域
麻酔科学・ペインクリニック
資格
麻酔科専門医(日本麻酔科学会)
学会
日本麻酔科学会
日本ペインクリニック学会
日本産科麻酔学会
モットー
安全で苦痛の少ない麻酔

清水 美彩子 (しみず みさこ)

麻酔科医師、ペインクリニック内科医師

医学部卒業年
H23年

篠田 正浩 (しのだ まさひろ)

麻酔科医師

医学部卒業年
H25年
専門領域
麻酔科学
学会
日本麻酔科学会
モットー
誠実に頑張ります

津田 翔 (つだ わたる)

麻酔科医師、ペインクリニック内科医師

医学部卒業年
H25年

髙尾 直樹 (たかお なおき)

麻酔科医師

医学部卒業年
H28年
専門領域
麻酔科学
学会
日本麻酔科学会
日本臨床麻酔学会
モットー
苦痛の少ない周術期管理を目指します

杉本 理 (すぎもと さだむ)

麻酔科医師、ペインクリニック内科医師

医学部卒業年
H29年