平成30年度 富山市民病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 484 202 243 325 483 705 1475 2304 2303 722

年齢別階級別患者は、平成30年4月から平成31年3月までの間に富山市民病院を退院した患者さんの年齢を10歳刻みで集計したものです。 当院は地域医療支援病院として幅広い年齢層の患者さんを診察しています。 なかでも60歳以上の患者さんの割合が多いことが見て取れます。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 314 19.06 20.92 28.34 84.83
100380xxxxxxxx 体液量減少症 97 4.54 9.12 4.12 70.37
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2なし 47 19.36 19.01 25.53 78.83
060390xxxxx0xx 細菌性腸炎 手術・処置等2なし 39 32.52 7.30 5.13 54.79
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし 38 2.24 5.42 0.00 55.68

富山県・富山市は、全国的にみても最も高齢化の進んだ地域のひとつです。このため、当院内科の入院患者さんの平均年齢は高くなっていますが、特に症例数の多い誤嚥性肺炎においては、平均年齢80歳を超える「超高齢者」が入院されています。合併症も多いこれらの高齢患者さんは在院日数が長くなりがちですが、当科では入院当日からの退院調整・退院支援、早期のリハビリ開始など、在院日数短縮に努めています。また、「誤嚥性肺炎(連携)パス」を作成してスムーズな後方連携にも成果をあげています。 内科初診は総合内科的に幅広く対応しており、また内科領域のすべての専門医が常勤で治療にあたっており非常に多くの種類の内科疾患の方が通院・入院治療を受けておられます。

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xx0x 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 副傷病なし 85 2.86 2.67 0.00 74.20
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 69 6.16 7.75 0.00 60.64
060190xx99x0xx 虚血性腸炎 手術なし 手術・処置等2なし 65 7.74 8.93 3.08 67.82
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 64 9.98 10.08 7.81 75.27
060130xx99000x 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 54 5.35 7.40 1.85 63.33

当院消化器内科では、近隣の医療施設から年間1500例を超える消化器疾患患者を受け入れており、すべての症例について、5人の消化器専門医が対応しております。この結果、大腸癌検診における全大腸内視鏡検査は、患者様の利便性を考慮した希望日での予約・施行が可能となっております。また、消化器専門医が診察・診療を行うことで、迅速な検査や的確な診断を行うことができ、消化管炎症疾患や胆石症などの胆道疾患診療における平均在院日数は、全国平均を下回る結果となっております。

血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 副傷病なし 26 17.46 16.17 0.00 77.50
130090xx97x0xx 貧血(その他) 手術あり 手術・処置等2なし 13 11.31 10.57 0.00 84.77
130100xxxxx4xx 播種性血管内凝固症候群 手術・処置等24あり 13 34.15 28.51 30.77 74.15
130020xx99x3xx ホジキン病 手術なし 手術・処置等23あり 11 5.00 15.17 0.00 61.00
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等24あり 副傷病なし 11 36.45 32.36 0.00 76.00

赤血球、白血球、血小板および血漿蛋白の異常の原因を精査、診断し治療することが血液内科の役割です。当科で対象となる疾患は、大きく分けて造血器悪性腫瘍とその他の非腫瘍性疾患に分けることができます。当院は日本血液学会血液研修施設に認定されており、常勤の血液内科医は2名で何れも日本血液学会認定血液専門医資格を有しています。
造血器悪性腫瘍には、急性白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病)、慢性白血病(慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病)、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍(真性赤血球増加症、本態性血小板血症、原発性骨髄線維症)、悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫などが、その他の非腫瘍性疾患には、鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、血友病、フォン・ヴィレブランド病、抗リン脂質抗体症候群などがあります。
治療に関しては、患者さんおよびご家族に十分な病状説明を行い、納得された上で基本的にはガイドラインに沿って治療していますが、年齢や全身状態、併存症により化学療法ができない患者さんに対しては、輸血などの支持療法を行い対応しています。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 54 2.65 3.43 0.00 71.98
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 47 21.40 19.06 12.77 75.38
0400801499x002 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なしA-DROP スコア2 43 12.51 15.17 9.30 83.93
0400801299x000 肺炎等(市中肺炎かつ15歳以上65歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なしA-DROP スコア0 34 8.35 8.67 2.94 46.97
0400801499x001 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なしA-DROP スコア1 27 13.26 13.46 0.00 80.85

呼吸器内科においては、気道感染症、間質性肺疾患、悪性腫瘍やアレルギー疾患などの多様で幅広い疾患の治療を精力的に行っています。分子標的薬による治療は悪性腫瘍だけではなく間質性肺疾患にも及んでおり、これにクリニカルパスを併用してより効率的な治療導入に心がけています。さらに呼吸器内視鏡部門においては、超音波内視鏡を用いた特殊検査や局所麻酔下胸腔鏡検査を施行しており、これらによる治療率の向上とより良い治療の実践を心がけています。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 136 17.90 17.66 12.50 83.65
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 116 3.30 3.01 0.86 70.29
050130xx99020x 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 80 28.59 24.68 17.50 83.00
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 64 4.61 4.47 0.00 71.98
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 手術・処置等1あり 50 2.00 2.04 0.00 54.96

平成30年度は年間359件の心臓カテーテル検査および治療(うち冠動脈インターベンション114件、アブレーション15件)を行いました。急性心筋梗塞への緊急治療は47件で、24時間体制で取り組み8割以上の例で病院到着から90分以内に施行しています。循環器疾患は高齢化率も高く、心不全患者では再発や合併症も多く、入院が長くなりがちですが、積極的にカテーテル治療などをおこない、少しでも長く在宅での療養がおくれるような診療に努めています。また体内式ペースメーカー植え込みも新規および交換手術を年間54件おこなっていました。

内分泌代謝内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病なし85歳未満    52 10.02 13.90 0.00 65.81
100070xx99x110 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病あり85歳未満  19 12.79 15.51 5.26 73.58
100050xxxxxxxx 低血糖症(糖尿病治療に伴う場合) 14 3.64 5.87 7.14 74.43
100070xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし85歳未満 13 9.38 11.05 0.00 61.92
100070xx99x101 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。) 手術なし 手術・処置等21あり 副傷病なし85歳以上 13 13.62 18.38 7.69 87.77

内分泌代謝内科は、糖尿病、脂質異常などの生活習慣病や、内分泌(甲状腺、脳下垂体、副腎などの)疾患を診ることから、全身のほぼすべての臓器を対象とする診療科です。疾患の内分泌・代謝異常と、その増悪因子や合併症などを評価し、多職種との連携によるチーム医療で診療にあたります。

  • 糖尿病診療
    当院は2名の糖尿病専門医・指導医が在籍する日本糖尿病学会の認定教育施設で、糖尿病の初期教育から急性期治療、慢性期の合併症管理に至るまで、糖尿病のトータルケアを展開しています。
    教育入院は、3種類(1〜2週間)のクリニカルパスで行っています。多職種(看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師、理学療法士など)がチームを組み、他(眼、皮膚、歯)科とも連携して、患者の退院後の生活を見据えた糖尿病療養をサポートします。看護外来では認定看護師や管理栄養士が糖尿病相談窓口を開設し、毎日患者指導にあたっています。周術期や妊娠糖尿病患者の血糖管理も数多く手掛け、持続血糖モニター/インスリン持続皮下注入療法など最新の治療も積極的に導入しています。フットケア外来も開設し、糖尿病足病変の発症予防、早期治療に努めています。
  • 内分泌診療
    当院は日本内分泌学会の認定教育施設で、2名の内分泌代謝科専門医が診療にあたっています。負荷試験、画像検査、静脈血サンプリングなどを組み合わせた診断にもとづき治療方針を決定し、必要に応じて他施設とも連携して、ホルモン産生腫瘍や内分泌関連臓器障害などに対する多角的診療を実践しています。甲状腺の吸引細胞診も週2日のペースで行い、甲状腺腫瘍の診断・治療を迅速に行っています。

神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 110 3.69 5.10 0.00 70.44
010060x2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 75 15.64 16.16 40.00 76.21
010290xxxxxxxx 自律神経系の障害 44 2.86 5.30 0.00 71.27
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 42 6.40 7.28 7.14 62.45
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 28 15.11 16.18 25.00 64.36

神経内科では、脳梗塞をはじめ、神経救急の診療に力を入れており、超急性期の脳梗塞には、血栓溶解療法も施行しています。急性期治療後は、脳卒中地域連携パスを用い、回復期リハビリ病院と連携しています。脳梗塞以外では、めまいやてんかんの診療にも、力を入れています。

腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 副傷病なし 115 14.90 12.58 12.17 79.04
110280xx99020x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 副傷病なし 51 7.29 8.77 1.96 71.86
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 43 8.65 12.05 6.98 69.93
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 20 8.10 7.18 0.00 48.30
110290xx99x00x 急性腎不全 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 15 13.27 13.16 6.67 75.80

腎臓内科は2名の日本腎臓学会認定指導医を含む5名の腎臓内科医が常勤として勤務しており、幅広く腎疾患について診療を行っています。特に、二次性高血圧も含めた高血圧の診断と治療や、年間30件を超える腎生検を用いて、一次性および膠原病・血管炎などの二次性糸球体・尿細管疾患の診断を行い、ステロイドや免疫抑制剤を適宜使用しながら、専門的な治療を行っています。慢性腎臓病の地域連携にも力を入れており、100例以上の患者さんをCKD地域連携パスを用いて、かかりつけ医と連携を行い、腎臓病専門看護師や栄養士による定期的な生活・食事指導を行っています。また、腎不全が進行し透析が必要となった患者さんには腎代替療法選択パスでの教育入院も含め、適切な時期に血液透析、腹膜透析、腎移植について多職種による十分な説明を行い、治療法を選択していただいています。その結果当科では約80名の血液透析に対し、約40名(33%)と全国平均(2.7%)より高い腹膜透析選択率となっています。また、維持血液透析のみならず、ICUでの持続血液ろ過透析(CHDF)などの急性血液浄化療法、血漿交換、血液吸着、白血球除去療法などの特殊血液浄化療法も積極的に実施しています。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 85 5.34 4.96 1.18 70.40
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 43 6.95 7.30 0.00 63.49
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 39 18.54 15.30 7.69 70.69
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 37 5.22 5.49 0.00 38.43
060150xx02xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴うもの等 28 6.61 9.94 0.00 50.32

外科では、消化器・乳腺・肛門・ヘルニアなどの疾患を担当しており、中でも胃・大腸・乳・肝癌に加えて最近増加している膵癌などの悪性疾患に対する手術を主に行っております。また急性虫垂炎、急性胆嚢炎、腸閉塞、汎発性腹膜炎などの腹部救急疾患に対する緊急手術も数多く手掛けています。週1回の術前カンファランス・キャンサーボードに加えて、月1回外科・内科・放射線科・病理診断科合同の症例検討会を行い、より良い治療を目指しています。
悪性疾患に対する術前・術後の化学療法も有効性の向上と副作用対策の改善により頻繁に行われるようになっておりますが、当科でも入院・外来を問わず積極的に導入しています。また、癌性疼痛や全身倦怠感などのつらい症状に対しては、緩和ケア内科と連携して患者さんの不安を取り除けるような医療を提供しています。

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2なし 44 9.07 10.59 0.00 64.36
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2なし 12 6.75 6.23 0.00 59.08
090010xx99x6xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等26あり 11 2.00 4.15 0.00 56.55
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり 4.02
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 6.52

 当院で診断、治療開始される初発乳がん患者さんは、年間約60例です。乳がん以外の乳腺腫瘍の手術では葉状腫瘍、線維腺腫などの切除術が年間数例あります。乳房のしこりが何であるかを確定する組織診は、ほとんどの場合、外来での針を用いた生検で診断可能です。
 乳がんに関しては、診断から手術、薬物療法、放射線療法、経過観察、再発治療まで、一貫して乳腺外科を中心に関係科・関係職種が連携して診療しています。また、かかりつけ医の先生との連携を大切にしています。
 乳がんの治療方針は患者さんとよく相談し、手術では、乳房の温存が可能な場合には、乳房部分切除術と術後放射線療法を行っています。乳がんのタイプによっては、術前に化学療法を行ってがんを小さくしてから手術を行うこともあります。乳房温存が困難な場合は、ご希望に応じ、乳房再建術につき相談いたします。
 腋窩に関しては、リンパ節転移の可能性が低い場合にはセンチネルリンパ節生検を行い、無用な腋窩郭清を避けています。腋窩郭清を行わない場合、上肢の症状が出ることはほとんどなく、通常、術後1週間以内の退院が可能です。

整形外科・関節再建外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 158 19.79 26.30 65.82 84.03
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 55 34.55 24.26 1.82 74.24
160760xx97xxxx 前腕の骨折 手術あり 48 6.10 5.68 4.17 55.54
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 46 24.54 22.27 0.00 68.67
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 副傷病なし 39 16.21 19.61 61.54 78.74

整形外科では人間が社会生活をする上で不可欠な運動器(骨、関節、脊椎、神経、血管など)の病気や外傷の治療を行っています。
当科では特に関節疾患、外傷、手の外科の治療に力を入れています。年間手術件数は約850例です。
股関節領域における当科の治療方針は、患者さんの年齢や活動性、職業、関節の状態など、さまざまな要因を十分に検討し、必要に応じて手術を適用しています。手術は、患者さん自身の関節を残す関節温存手術と、人工関節置換術を主に行っています。
関節温存手術は、入院期間や術後のリハビリにやや時間を要しますが、患者さん自身の骨や軟骨の再生促進が可能で、現在でも股関節疾患の治療において不可欠な選択肢となっています。日本人女性の変形性関節症の原因として臼蓋形成不全が挙げられます。骨頭のカバーが不十分であるために疼痛や、関節軟骨の変性をきたす疾患です。比較的若年で関節の変性をほぼ認めない段階であれば、正常軟骨での骨頭のカバーが可能な臼蓋回転骨切術が推奨されます。また、関節の変性が進行していても、骨頭内方化による荷重負荷減少と線維軟骨による骨頭被覆が可能なChiari手術であれば関節温存が可能です。また、ステロイド投与歴のある患者さんや、アルコール多飲、外傷後などに生じる大腿骨頭壊死症に対する杉岡式骨頭回転骨切り術においても多くの実績があります。
関節の破壊が高度で関節温存手術の適応が困難であったり、早期の社会復帰を望まれる場合は、人工関節置換術をおこなっています。人工股関節置換術が初めてイギリスで臨床導入され50年以上が経過します。これまでに無数の人工股関節が開発されてきました。不良な成績から短期で臨床現場から駆逐された機種は列挙すれば暇がなく、近年においても依然としてそういった事例は存在します。しかしながら、一部には30年以上の長期にわたり良好な成績を残している機種も少なくありません。当科では、過去20年間の1000例以上の経験から、日本人の骨に適合しやすいデザインで、かつ良好な長期成績が期待できる人工関節を開発し、治療に取り入れています。2008年の臨床導入から約700例の使用実績があり、これまで人工関節の緩みをきたした例は1例もなく、良好な結果を得ています。また、人工関節が脱臼や、早期の摩耗といった問題を起こすことなく長期にわたり安定した成績を発揮するためには、正確な設置や、関節周囲の処置が必要です。当科では手術器具や手技に様々な工夫や改良を加えた結果、設置誤差のほとんどない手術が可能となっており、術後の脱臼率も0.5%程度です。また、手技が高度で脱臼や骨切り部偽関節などの術後合併症が多いとされる高位脱臼性股関節症に対する転子下短縮骨切り併用人工股関節置換術においても、独自の骨切りデバイスを開発し100%の癒合率と良好な治療成績を収めています。将来、人工関節が摩耗し、再置換手術が必要となっても、当院には豊富な同種骨バンクを2003年から整備しており、それを用いた再置換を行い良好な結果を得ています。
股関節領域においては、これまで述べた各種関節温存手術や人工関節置換術、同種骨を用いた再置換術まで、あらゆる股関節の問題に対応可能な体制を整えています。Second opinionを含め、股関節疾患にお悩みの方は気軽にご相談ください。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 42 10.57 9.69 16.67 77.43
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 31 10.74 7.35 22.58 60.00

010040x099000x

非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 25 21.72 18.72 52.00 66.64
010040x199x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 16 21.75 21.23 62.50 73.81
010040x199x01x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病あり 9 32.89 32.83 100.00 77.33

当院の脳神経外科では、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、水頭症、脊椎疾患の外科治療に主に取り組んでいます。
特に入院症例数の多い疾患は頭部外傷、脳卒中、頚椎症です。一般的に脳神経外科疾患は重症化する疾患が多く、治療が長引くことも多々あります。患者さんを中心として、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士、医療ソーシャルワーカーの多職種専門スタッフがそれぞれの役割を果たし連携し、治療が速やかに行えるように心掛けています。

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし 19 2.37 3.15 0.00 63.79
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし 12 2.75 4.05 0.00 38.50
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 8.16
090010xx04xxxx 乳房の悪性腫瘍 組織拡張器による再建手術(一連につき) 乳房(再建手術)の場合等 8.23
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 5.37

 形成外科とは、主に体表面の外傷(熱傷を含む)、先天異常、腫瘍の切除、外傷や手術後の変形、瘢痕(拘縮)、皮膚欠損創などを対象として、その形態だけでなく機能も、そしてさらに心も正常な状態に再建修復することを目的とした外科学の一分野です。特に露出部では単にキズを直すだけでなく、できるだけ目立たないようにきれいなキズあとにすることが当科の特徴です。 皮膚・皮下腫瘍は、良性・悪性腫瘍とも大きなものは入院の上、手術を行っています。高齢者の悪性腫瘍が少しずつ増加する傾向にあります。また、加齢に伴う眼瞼下垂症も少しずつ増加しており、入院の上、局所麻酔で手術を行っています。顔面外傷は、軟部組織損傷だけでなく、骨折(鼻骨・頬骨)を合併することもあり、その場合は入院の上手術を行っています。また、血管腫に対する治療も行っています。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 60 11.39 11.87 0.00 71.46
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 副傷病なし 39 7.91 10.08 2.94 34.21
080240xx97xxxx 多汗症 手術あり 14 2.00 3.04 0.00 26.36
160400xx99x00x 胸郭・横隔膜損傷 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 12 7.67 8.56 0.00 72.58
040040xx99070x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等27あり 副傷病なし 10.92

呼吸器外科と血管外科は、呼吸器・血管外科センターとして集約されており、呼吸器外科、血管外科、頚胸部外科を担当し、年間330件を超える手術を行っています。呼吸器外科医3人、心臓血管外科医2人の5人体制で、質の高い医療を提供できるように努力しています。呼吸器外科では、肺腫瘍、縦隔腫瘍のほか胸膜や胸壁腫瘍および気胸、また膿胸など感染性疾患など、呼吸器領域の疾患を対象とした外科治療と、胸部に進展するような縦隔型甲状腺腫瘍や異所性副甲状腺腫瘍などの甲状腺・副甲状腺疾患および気管疾患を対象とした頚胸部領域の外科治療を行っています。また若い人に多い手掌多汗症の手術も積極的に行っています。治療方針は、呼吸器内科医や内分泌内科医と連携しながら決定します。また悪性疾患に対しては、手術だけではなく、術前・術後の化学療法および放射線治療も、呼吸器内科や放射線治療科と協力して積極的に行っています。さらに癌性疼痛や全身倦怠感などの生活の質を損なうような症状に対しては、緩和ケア内科と連携して診療に当たっています。

血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 46 2.54 2.85 0.00 64.07
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 副傷病なし 29 6.31 8.75 10.34 69.59
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 副傷病なし 5.50
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等2なし 12.01
050161xx99000x 解離性大動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 17.40

呼吸器外科と血管外科は、呼吸器・血管外科センターとして集約されており、呼吸器外科、血管外科、頚胸部外科を担当し、年間330件を超える手術を行っています。呼吸外科医3人、心臓血管外科医2人の5人体制で、質の高い医療を提供できるように努力しています。血管外科では、胸部と頭頚部を除いた全身の血管を扱っており、腹部大動脈瘤・下肢閉塞性動脈硬化症などの動脈疾患、下肢静脈瘤・深部静脈血栓症などの静脈疾患の治療に加え、透析シャント作成やその修復術を行っています。各種血管疾患に対する低侵襲治療も積極的に行っており、腹部大動脈瘤に対しては従来の開腹手術に加えてステントグラフト内挿術も施行しておりますし、下肢閉塞性動脈硬化症に対しては外科的バイパス手術に加えてステント留置などの血管内治療も積極的に行っています。また、下肢静脈瘤の治療に関しては血管内焼灼術を第一選択として施行しております。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 副傷病なし 81 4.28 6.19 0.00 1.25
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 副傷病なし 58 4.43 6.62 0.00 3.48
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1あり 48 1.02 2.14 0.00 2.56
100380xxxxxxxx 体液量減少症 37 3.14 9.12 0.00 4.81
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2なし 副傷病なし 36 4.75 5.71 0.00 2.36

当院は富山市医療圏にある中核病院小児科として、あらゆる急性疾患に対応できるように体制を構築しております。小児科入院に関しては導入が難しいとされている医療パスも当院では積極的に取り入れ、特に入院の多くを占める呼吸器疾患に関しては、平均在院日数も呼吸器疾患で4~5日(全国平均5~6日)と全国平均より約1日少なく効率の良い無駄の少ない医療を提供しております。一方、小児科専門領域に関しても神経、循環器、アレルギーなど専門医による小児慢性疾患の治療・管理も行っております。また拒食症、不登校、小児虐待など社会的かつ精神的な問題にも積極的に取り組み虐待児の一時保護、支援なども富山市や県のこども相談課と協力し対応しています。外来には小児救急看護認定看護師を配備し、看護外来「こども相談」を行い、小児の専門的なケア方法の提供も行っております。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 31 8.00 8.98 0.00 72.35
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 30 12.27 12.51 3.33 65.30
080080xxxxxxxx 痒疹、蕁麻疹 6.36
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2なし 29.50
080030xxxxxxxx 疱疹(帯状疱疹を除く。)、その類症 7.51

厚生労働省の「DPC導入の影響評価に関する調査」の中で公表されている「診断群分類毎の集計」のデータと比較すると、当科で上位となっているDPCコードは全国的にも上位を占めており、同様の傾向を示しています。
当科においては、帯状疱疹、蜂窩織炎・丹毒などの重症ウイルス、細菌感染症が入院患者の約6割を占めています。これらの疾患に対しては、クリニカルパスを利用して標準的、効率的な治療を行っており、当科の平均在院日数は全国の平均在院日数と比較して短縮されています。次に、蕁麻疹・アナフィラキシー、類天疱瘡・天疱瘡などの自己免疫性水疱症、成人水痘の患者さんが多く、それ以外の入院対象疾患としては結節性紅斑、血管炎、中毒疹・薬疹、熱傷、皮膚潰瘍、褥瘡、マムシ咬症などが挙げられます。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 42 7.36 7.20 0.00 75.83
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 手術・処置等1なし 副傷病なし 29 7.93 5.62 0.00 67.79
110080xx991x0x 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 副傷病なし 27 2.00 2.53 0.00 72.19
11022xxx99xxxx 男性生殖器疾患 手術なし 15 9.87 9.02 0.00 62.47
110200xx99xxxx 前立腺肥大症等 手術なし 12 4.92 6.40 0.00 78.75

当院の泌尿器科におきましては、北陸においていち早く鏡視下手術を取り入れ、積極的に施行しています。具体的には、1997年より副腎摘除術を、また2003年より腎摘除術を鏡視下に開始しています。現在は、径の小さな腎腫瘍に対しては、腎機能を温存する腎部分切除術を鏡視下に積極的に行っています。また、適応疾患も、腎盂尿管移行部狭窄症や骨盤臓器脱(膀胱脱や腟脱)に拡げ、低侵襲で患者さんに優しい治療を目指しています。尿路結石に対する治療は、2014年1月に最新の対外衝撃波結石破砕装置を導入し、破砕効果が数段アップしました。外来治療が可能であるというメリットがあります。一方、結石を内視鏡で視野に入れて、レーザーで確実に細かく壊す経尿道的尿路結石除去術も積極的に行っています。この治療は、数日の入院での治療が可能です。

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120170xx99x0xx 早産、切迫早産 手術なし 手術・処置等2なし 25 28.24 19.69 8.00 29.32
120140xxxxxxxx 流産 20 1.35 2.45 0.00 35.20
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 20 8.75 9.70 0.00 32.90
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 18 5.94 6.28 0.00 40.72
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 15 10.00 9.87 0.00 44.27

産婦人科は産科、婦人科腫瘍、生殖・内分泌、女性のヘルスケアの4つの分野を取り扱っています。産科は分娩の取り扱いを指し、「母児にとってできるだけ安全に」を目指し、注意深く妊娠経過を観察し、正常な分娩となるよう努めています。児の状態が悪化する等、帝王切開術が必要な場合も麻酔科、小児科医師の協力を得て、母児の安全のためにチーム医療を行っています。妊娠糖尿病は妊婦の10%前後にみられ、母体および新生児の種々の合併症が多いことから、厳格にスクリーニングを行い早期の診断に努め、診断後は内分泌内科医師と合同で管理を行っています。医師とは違った視点から患者さんに対応する、助産師による保健指導も積極的に取り入れています。当院の特徴に硬膜外麻酔による無痛分娩を導入していることが挙げられます。年々、その希望者が増加しています。
婦人科腫瘍については、悪性腫瘍に対しては各疾患ガイドラインに沿った診療を心がけています。良性腫瘍に対しては腹腔鏡下手術や経膣手術など、患者さんにとって負担の軽い治療法を選択するよう心がけています。
女性のヘルスケア(健康管理)については骨粗鬆症、更年期障害など婦人科全般の診療を行っています。また、産婦人科外来では水曜日の午後に女医による女性専用外来を開設しています。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 198 2.22 2.84 2.02 73.94
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 143 4.10 5.39 0.00 75.70
020210xx97x0xx 網膜血管閉塞症 その他の手術あり 手術・処置等2なし 7.68
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり片眼 6.16
020280xx97xxxx 角膜の障害 手術あり 9.99

 当科での手術症例では老人性白内障が最も多く、片眼1泊2日、両眼では3泊4日の入院でクリニカルパスを使用して効率よく治療をしております。
 硝子体手術においては1週間の入院でのクリニカルパスを使用しております。
 角膜潰瘍におきましては、原因となっている起因菌を同定すべく、潰瘍部位の速やかな掻爬、鏡検にて判断し、加療しております。

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 45 4.40 5.10 0.00 69.36
030270xxxxxxxx 上気道炎 20 4.10 4.96 0.00 32.65
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 18 8.56 8.29 0.00 42.89
030240xx01xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 扁桃周囲膿瘍切開術等 13 5.38 7.27 0.00 41.62
030240xx97xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 その他の手術あり 12 7.83 8.66 0.00 28.17

 前庭機能障害や突発性難聴の入院が多く、気道緊急の可能性がある扁桃炎、周囲炎、周囲膿瘍などの入院も多くみられます。
 慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する手術件数も増加傾向であります。内視鏡下に行う経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)を積極的に導入し、入院日数の短縮に努めています。
 今後はさらに、鼻副鼻腔炎や鼻副鼻腔腫瘍、頭頸部腫瘍などの入院を増やしていきたいと考えています。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 36 17 36 22 15 1 7,8
大腸癌 16 51 71 82 20 61 1 7,8
乳癌 36 20 1 7,8
肺癌 27 14 23 74 44 29 1 7,8
肝癌 30 1 6,7,8

現在、日本で最も多い5つのがん(胃がん・大腸がん・乳がん・肺がん・肝がん)の病期(Stage)ごとの症例数を示したものです。がんの症例数はその病院が積極的にがん治療をしているかがわかる指標と申せましょう。 病期はがんの進行状態を示すものであり、0期からⅣ期の5つに分類されます。0期に近いほどがんが小さくとどまっている状態でⅣ期に近いほどがんが広がっている状態といえます。がんの確定にいたらない場合の病期は不明となっています。 当院では、外来で化学療法が行われており、入院での再発治療は少なくなっています。また、緩和ケア病棟入院の患者さんは含まれていません。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 40 8.20 53.45
中等症 112 13.46 76.92
重症 24 16.00 86.75
超重症
不明

成人(15歳以上)の肺炎患者さんについて重症度別に症例数、平均在院日数、平均年齢を示したものです。市中肺炎とは入院後48時間以降に発症した院内肺炎や高齢者医療の結果生じる医療・介護関連肺炎以外のものを言います。重症度の判定が低い患者さんでも食事が充分摂れなかったり、咳以外の自覚症状が強い時には短期間の入院で改善を図っています。

脳梗塞の患者数

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発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 237 19.00 76.97 43.35
その他 26 17.73 72.85 3.42

脳梗塞のICD10別の患者さんについて、症例数、平均在院日数、平均年齢等を集計した表です。
脳梗塞の場合、早期に治療を行うことが効果的とされ、3日以内に来院された方の在院日数は短い傾向があります。当院では神経内科医と脳外科医が共同して適切な治療方針を決定しています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 113 2.63 3.65 1.77 74.52
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 108 1.52 13.17 9.26 78.06
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 63 4.06 3.21 1.59 71.78
K654 内視鏡的消化管止血術 38 1.53 13.24 13.16 74.00
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 28 9.46 15.93 10.71 82.71

当科には多種多様の内科専門領域における専門医・指導医がそろっており、内科的手術のほとんどすべてに対応可能です。症例数の多い手術は全国的にみても多数行われているものですが、当科での特徴として富山全体の高齢化を反映して症例の平均年齢が高いことがあげられます。高齢者においては合併症・偶発症の頻度も高く在院日数も延長しがちですが、当科では各種クリニカルパスを利用したチーム医療を通じて、入院日からの退院調整・退院支援、早期リハビリ、食事・栄養管理、感染対策など在院日数短縮に努めており、成果をあげています。

外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 68 1.59 4.94 1.47 65.41
K6335 鼠径ヘルニア手術 55 1.58 3.04 1.82 69.91
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 52 5.21 14.50 9.62 71.31
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 35 1.20 2.80 0.00 67.20
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 33 0.45 3.64 0.00 36.67

主な手術件数は、悪性疾患では胃癌に対する手術36例、結腸癌に対する手術 67例、直腸癌に対する手術 36例、乳癌に対する手術 64例、肝胆膵癌に対する手術 21例などとなっています。また良性疾患では、胆嚢摘出術83例、虫垂切除術60例、鼡径・大腿ヘルニア根治手術109例などとなっています。全体の手術件数は584例でした。
低侵襲手術として腹腔鏡下手術を導入しており、日本内視鏡外科技術認定医の下に胃癌と胃GIST(16例)、大腸癌(84例)、胆石症(70例)、ヘルニア(37例)、虫垂炎など(43例)、などに対して施行しています。また、食道癌、膵・胆道癌や肝癌の手術は、高度の技術を必要としますが、安全に行うことを心がけています。

乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 29 1.03 6.14 0.00 65.10
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 12 1.00 4.75 0.00 59.08
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 11 1.00 9.36 0.00 62.73
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満)
K4764 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴う))

当院で診断、治療開始される初発乳がん患者さんは、年間約60例です。乳がん以外の乳腺腫瘍の手術では葉状腫瘍、線維腺腫などの切除術が年間数例あります。乳房のしこりが何であるかを確定する組織診は、ほとんどの場合、外来での針を用いた生検で診断可能です。
乳がんに関しては、診断から手術、薬物療法、放射線療法、経過観察、再発治療まで、一貫して乳腺外科を中心に関係科・関係職種が連携して診療しています。また、かかりつけ医の先生との連携を大切にしています。
乳がんの治療方針は患者さんとよく相談し、手術では、乳房の温存が可能な場合には、乳房部分切除術と術後放射線療法を行っています。乳がんのタイプによっては、術前に化学療法を行ってがんを小さくしてから手術を行うこともあります。乳房温存が困難な場合は、ご希望に応じ、乳房再建術につき相談いたします。
腋窩に関しては、リンパ節転移の可能性が低い場合にはセンチネルリンパ節生検を行い、無用な腋窩郭清を避けています。腋窩郭清を行わない場合、上肢の症状が出ることはほとんどなく、通常、術後1週間以内の退院が可能です。

整形外科・関節再建外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) 143 2.04 16.59 62.24 84.31
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 105 4.90 26.57 0.95 71.67
K0483 骨内異物(挿入物を含む)除去術(前腕,下腿) 64 0.98 4.30 0.00 53.91
K0462 骨折観血的手術(前腕,下腿,手舟状骨) 45 3.69 11.71 13.33 58.13
K0542 骨切り術(前腕,下腿) 38 2.89 33.53 0.00 66.13

整形外科では人間が社会生活をする上で不可欠な運動器(骨、関節、脊椎、神経、血管など)の病気や外傷の治療を行っています。当科では特に関節疾患、外傷、手の外科の治療に力を入れています。年間手術件数は約850例です。
股関節領域における当科の治療方針は、患者さんの年齢や活動性、職業、関節の状態など、さまざまな要因を十分に検討し、必要に応じて手術を適用しています。手術は、患者さん自身の関節を残す関節温存手術と、人工関節置換術を主に行っています。
関節温存手術は、入院期間や術後のリハビリにやや時間を要しますが、患者さん自身の骨や軟骨の再生促進が可能で、現在でも股関節疾患の治療において不可欠な選択肢となっています。日本人女性の変形性関節症の原因として臼蓋形成不全が挙げられます。骨頭のカバーが不十分であるために疼痛や、関節軟骨の変性をきたす疾患です。比較的若年で関節の変性をほぼ認めない段階であれば、正常軟骨での骨頭のカバーが可能な臼蓋回転骨切術が推奨されます。また、関節の変性が進行していても、骨頭内方化による荷重負荷減少と線維軟骨による骨頭被覆が可能なChiari手術であれば関節温存が可能です。また、ステロイド投与歴のある患者さんや、アルコール多飲、外傷後などに生じる大腿骨頭壊死症に対する杉岡式骨頭回転骨切り術においても多くの実績があります。
関節の破壊が高度で関節温存手術の適応が困難であったり、早期の社会復帰を望まれる場合は、人工関節置換術をおこなっています。人工股関節置換術が初めてイギリスで臨床導入され50年以上が経過します。これまでに無数の人工股関節が開発されてきました。不良な成績から短期で臨床現場から駆逐された機種は列挙すれば暇がなく、近年においても依然としてそういった事例は存在します。しかしながら、一部には30年以上の長期にわたり良好な成績を残している機種も少なくありません。当科では、過去20年間の1000例以上の経験から、日本人の骨に適合しやすいデザインで、かつ良好な長期成績が期待できる人工関節を開発し、治療に取り入れています。2008年の臨床導入から約700例の使用実績があり、これまで人工関節の緩みをきたした例は1例もなく、良好な結果を得ています。また、人工関節が脱臼や、早期の摩耗といった問題を起こすことなく長期にわたり安定した成績を発揮するためには、正確な設置や、関節周囲の処置が必要です。当科では手術器具や手技に様々な工夫や改良を加えた結果、設置誤差のほとんどない手術が可能となっており、術後の脱臼率も0.5%程度です。また、手技が高度で脱臼や骨切り部偽関節などの術後合併症が多いとされる高位脱臼性股関節症に対する転子下短縮骨切り併用人工股関節置換術においても、独自の骨切りデバイスを開発し100%の癒合率と良好な治療成績を収めています。将来、人工関節が摩耗し、再置換手術が必要となっても、当院には豊富な同種骨バンクを2003年から整備しており、それを用いた再置換を行い良好な結果を得ています。
股関節領域においては、これまで述べた各種関節温存手術や人工関節置換術、同種骨を用いた再置換術まで、あらゆる股関節の問題に対応可能な体制を整えています。Second opinionを含め、股関節疾患にお悩みの方は気軽にご相談ください。

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 40 0.28 10.38 30.00 79.10
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 12 10.00 9.83 0.00 73.83
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 11 1.82 30.09 36.36 56.55
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内)
K1781 脳血管内手術(1箇所)

当院の脳神経外科では、手術に関しては脳卒中に対する治療に力を入れて取り組んでいます。特に破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血に対しては、従来の開頭クリッピング術に加えて脳血管内手術(瘤内コイル塞栓術)を積極的に取り入れて、症例毎に動脈瘤の形状、動脈瘤の部位、くも膜下出血の重症度分類に応じて最適な治療を選択しています。また超急性期の脳梗塞に対して、神経内科と連携してtPAに引き続き血栓回収療法を行っています。脳卒中の治療には緊急を要する場合が多く、救急部、手術部、ICU、HCUが連携し患者さんの状態が少しでも早く改善するように取り組んでいます。

形成外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 18 0.00 1.39 0.00 66.06
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除)
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩,上腕,前腕,大腿,下腿,躯幹)
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満)
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満)

皮膚・皮下腫瘍は、良性・悪性とも大きなものは入院の上、全身麻酔又は局所麻酔で手術を行っています。切除後の欠損創に対して植皮術などを行う場合は入院期間が長くなります。眼瞼下垂症手術の場合は術後の出血・はれが落ち着くまで1~数日入院しています。また、乳癌手術後の組織欠損に対する再建手術は外科と協力して行っています。手術は自分の組織を用いる筋皮弁法とインプラントを用いる方法がありますが、それぞれ長所・短所がありますので、患者さんと相談して決定しています。顔面外傷に伴う鼻骨骨折や頬骨骨折に対しては入院の上、全身麻酔下で整復手術を行います。

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 34 3.75 3.17 2.78 33.58
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 31 1.75 9.13 0.00 69.71
K196-2 胸腔鏡下交感神経節切除術(両側) 14 0.00 1.00 0.00 26.36
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 10 1.75 10.50 8.33 75.75
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 10 1.67 9.50 0.00 71.83

呼吸器外科と血管外科は、呼吸器・血管外科センターとして集約されており、呼吸器外科、血管外科、頚胸部外科を担当し、年間330件を超える手術を行っています。呼吸器外科医3人、心臓血管外科医2人の5人体制で、質の高い医療を提供できるように努力しています。
呼吸器外科では、肺腫瘍、縦隔腫瘍のほか胸膜や胸壁腫瘍および気胸、また膿胸など感染性疾患など、呼吸器領域の疾患を対象とした外科治療と、胸部に進展するような縦隔型甲状腺腫瘍や異所性副甲状腺腫瘍などの甲状腺・副甲状腺疾患および気管疾患を対象とした頚胸部領域の外科治療を行っています。また若い人に多い手掌多汗症の手術も積極的に行っています。
平成28年4月からは、より低侵襲な呼吸器外科手術をめざして完全胸腔鏡下手術を本格的に導入し、積極的に胸腔鏡下手術を施行しています。平成30年の呼吸器外科領域の手術は128例でした。胸腔鏡下手術は、肺悪性腫瘍切除術60例のうち51例、気胸根治術38例のうち34例、縦隔腫瘍3例全例など、呼吸器外科手術の約8割は胸腔鏡下で行い、術後の生活の質向上に寄与することができています。また、局所進行悪性腫瘍症例であっても希望を捨てさせず、術前化学放射線療法を施行した後、開胸のもとに周囲浸潤臓器を合併切除する拡大手術を行って根治切除率を上げ、進行例の予後の向上に努めています。

血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 45 0.49 1.07 0.00 64.38
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 26 1.27 3.54 7.69 69.62
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 17 0.18 1.82 5.88 74.29
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 15 2.80 12.87 6.67 75.53
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)

呼吸器外科と血管外科は、呼吸器・血管外科センターとして集約されており、呼吸器外科、血管外科、頚胸部外科を担当し、年間330件を超える手術を行っています。呼吸外科医3人、心臓血管外科医2人の5人体制で、質の高い医療を提供できるように努力しています。
血管外科では、胸部と頭頚部を除いた全身の血管を扱っており、腹部大動脈瘤・下肢閉塞性動脈硬化症などの動脈疾患、下肢静脈瘤・深部静脈血栓症などの静脈疾患の治療に加え、透析シャント作成やその修復術を行っています。各種血管疾患に対する低侵襲治療も積極的に行っており、腹部大動脈瘤に対しては従来の開腹手術に加えてステントグラフト内挿術も施行しておりますし、下肢閉塞性動脈硬化症に対しては外科的バイパス手術に加えてステント留置などの血管内治療も積極的に行っています。また、下肢静脈瘤の治療に関しては血管内焼灼術を第一選択として施行しております。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 49 1.41 4.76 0.00 76.39
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 32 2.91 5.25 0.00 67.66
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 18 1.61 11.78 5.56 74.44
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 14 1.36 12.14 7.14 70.14
K7981 膀胱結石,異物摘出術(経尿道的手術)

当院の泌尿器科におきましては、北陸においていち早く鏡視下手術を取り入れ、積極的に施行しています。具体的には、1997年より副腎摘除術を、また2003年より腎摘除術を鏡視下に開始しています。現在は、径の小さな腎腫瘍に対しては、腎機能を温存する腎部分切除術を鏡視下に積極的に行っています。また、適応疾患も、腎盂尿管移行部狭窄症や骨盤臓器脱(膀胱脱や腟脱)に拡げ、低侵襲で患者さんに優しい治療を目指しています。尿路結石に対する治療は、2014年1月に最新の対外衝撃波結石破砕装置を導入し、破砕効果が数段アップしました。外来治療が可能であるというメリットがあります。一方、結石を内視鏡で視野に入れて、レーザーで確実に細かく壊す経尿道的尿路結石除去術も積極的に行っています。この治療は、数日の入院での治療が可能です。

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡)   25 1.12 4.16 0.00 41.40
K9091ロ 流産手術(妊娠11週までの場合)(その他のもの) 21 0.38 0.19 0.00 33.86
K877 子宮全摘術 20 1.10 7.80 0.00 51.25
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 20 2.35 6.80 0.00 33.15

K8981

帝王切開術(緊急帝王切開) 15 2.27 7.40 0.00 33.73

産婦人科は産科、婦人科腫瘍、生殖・内分泌、女性のヘルスケアの4つの分野を取り扱っています。産科は分娩の取り扱いを指し、「母児にとってできるだけ安全に」を目指し、注意深く妊娠経過を観察し、正常な分娩となるよう努めています。児の状態が悪化する等、帝王切開術が必要な場合も麻酔科、小児科医師の協力を得て、母児の安全のためにチーム医療を行っています。妊娠糖尿病は妊婦の10%前後にみられ、母体および新生児の種々の合併症が多いことから、厳格にスクリーニングを行い早期の診断に努め、診断後は内分泌内科医師と合同で管理を行っています。医師とは違った視点から患者さんに対応する、助産師による保健指導も積極的に取り入れています。当院の特徴に硬膜外麻酔による無痛分娩を導入していることが挙げられます。年々、その希望者が増加しています。
婦人科腫瘍については、悪性腫瘍に対しては各疾患ガイドラインに沿った診療を心がけています。良性腫瘍に対しては腹腔鏡下手術や経膣手術など、患者さんにとって負担の軽い治療法を選択するよう心がけています。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 337 0.00 2.01 1.19 74.61
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他)
K249 角膜潰瘍掻爬術,角膜潰瘍焼灼術
K2821イ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(縫着レンズを挿入するもの)
K2822 水晶体再建術(眼内レンズを挿入しない場合)

当科での手術症例では老人性白内障が最も多く、片眼1泊2日、両眼では3泊4日の入院でクリニカルパスを使用して効率よく治療をしております。
硝子体手術においては1週間の入院でのクリニカルパスを使用しております。
角膜潰瘍におきましては、原因となっている起因菌を同定すべく、潰瘍部位の速やかな掻爬、鏡検にて判断し、加療しております。

耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 15 0.67 6.67 0.00 22.07
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 12 0.42 3.83 0.00 41.33
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 11 0.91 6.82 0.00 41.36
K3192 鼓室形成手術(耳小骨再建術) 10 1.00 5.00 0.00 37.00
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術(切除)

慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎に対する手術件数が増加傾向です。内視鏡下に行う経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)を積極的に導入し、低侵襲かつ短期入院を目標としています。
今後は、慢性副鼻腔炎や鼻副鼻腔腫瘍に対する内視鏡下鼻副鼻腔手術や、頭頸部腫瘍に対する手術をさらに増やしていきたいと考えています。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 20 0.22
180010 敗血症 同一 40 0.43
異なる 47 0.51
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 10 0.11
異なる

医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはできないものの、少しでも改善すべきものとして定義される感染症及び合併症の発生率を表したものです。高齢者や免疫力が低下している難しい症例の治療を行うことが多く、発症率をゼロにすることはできません。しかし、早期から各科専門医が判断・治療に関わることによって合併症の発生を少なくする努力をしています。

更新履歴
2019年9月30日
平成30年度病院指標を公開しました。