歯科口腔外科

歯科口腔外科

診療科の特色

当科では歯、歯肉、舌前2/3、頬粘膜、口蓋、口底、口唇、顎骨や唾液腺(耳下腺を除く)、その周囲に存在する臓器に生じた疾患を対象としています。 顎顔面領域の外科的疾患に対する診療を主体に行っており、治療成績が安定した標準治療を中心とした治療法を選択し、機能性や整容性の回復、早期退院や社会復帰ができるように取り組んでいます。
高度急性期医療機関として顎顔面外傷・骨折や急性歯性感染症などの救急の受け入れも積極的に行っています。

また、当院の各診療科で行われる様々な手術や化学療法、放射線療法などで入院中の患者さんを対象に、口腔内有害事象の発症予防と治療にも取り組んでいます。

尚、基本的に一般歯科(むし歯や歯周病、ブリッジや義歯など)治療は行っておらず、かかりつけ医での治療をお願いしています。

実績

当科は日本口腔外科学会准研修施設に認定されています。 県内で日本口腔外科学会専門医2名が常勤で在籍する数少ない病院(大学病院を除く)であり、専門性が高い診断と治療を行っています。
2023年度の初診患者は1652名、入院患者は235名であり全身麻酔手術は213件となっています。

対応疾患

■外科的疾患
・埋伏歯(智歯など)や有病者の抜歯
・萌出困難歯の開窓※、歯の移植 ※矯正装置を併用した牽引は保険外診療(自費診療)となります
・歯性感染症(膿瘍、蜂窩織炎、骨髄炎、上顎洞炎、薬剤関連顎骨壊死など)
・囊胞や腫瘍(口腔粘膜や顎骨、その周囲組織に生じたもの)
・唾液腺疾患(唾石、粘液囊胞など)
・習慣性顎関節脱臼
・顎顔面外傷・骨折(顔面や口腔軟組織の損傷、歯の脱臼、歯槽骨骨折、頰骨骨折、上顎骨骨折、下顎骨骨折、顔面多発骨折など)
・顎変形症(上顎前突症、下顎前突症、顔面非対称、開咬症など)
・悪性腫瘍(口腔がん、唾液腺がんなど)
・デンタルインプラント(広範囲顎骨支持型装置、骨造成など)

■内科的疾患
・口腔粘膜疾患(難治性口内炎、舌炎、口腔乾燥症、口腔潜在的悪性疾患など)
・顎関節症
・神経疾患(三叉神経痛、非定型歯痛・顔面痛など)
・睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置の作製 ※医科で診断後に紹介状が必要となります
・当院で手術や化学療法などで入院中の患者さんの口腔機能管理

特徴的な検査・主な手術

抜 歯(智歯・有病者)

CBCTによる下歯槽神経障害のリスク評価を行い、症例によって歯冠部切除術(コロネクトミー)を選択することもあります。手術は通院下に局所麻酔での抜歯または、全身麻酔での入院1泊2日または2泊3日での抜歯を行っています。
また、歯科治療恐怖症や重度の嘔吐(絞扼)反射がある患者さんに対しては、通院下に静脈内鎮静法併用下に抜歯(一般歯科治療は除く)を行っています。※抜歯部位や歯の状態によっては、全身麻酔で行うことがあります。

歯性感染症・炎症

通院または入院下での抗菌薬の内服・点滴投与や切開・排膿術を行い、早期に症状が消失するように治療を行っています。また、骨吸収抑制薬などによる薬剤関連顎骨壊死に対しては、病態や年齢を考慮した治療法を選択しています。

囊胞・腫瘍

歯根が関連した囊胞や腫瘍の場合、病変を摘出後に手術用顕微鏡下で超音波骨切削機器を併用して歯根端切除術を行い、歯を温存しながら再発なく、長期予後が見込めるよう取り組んでいます。

顎顔面外傷・骨折

外傷は歯の外傷(脱臼や陥入など)や口腔軟組織損傷に対する治療を行っています。乳幼児や小児は局所麻酔での処置が困難な場合は、全身麻酔での処置を行うこともあります。
骨折は頰骨骨折、上顎骨骨折、下顎骨骨折、歯槽骨の単独骨折から多発骨折まで治療を行っています。基本的に顎間固定は行わず※、早期退院や社会復帰できるように治療を行っています。また、中顔面骨折には将来的に抜釘(プレート除去)術が必要ないように、積極的に吸収性プレートを選択しています※。 ※骨折様式によります

顎変形症

上顎前突症、下顎前突症や顔面非対称、開咬症など多様な病態があり、初診時から矯正歯科医院と連携して治療プランを立て手術を行っています。機能性(咬合)だけでなく、整容性(審美)のイメージを大切にすることを心がけています。

悪性腫瘍

標準治療(外科療法や化学療法、放射線療法)を選択し、根治性だけでなく術後機能(咬合や構音など)の回復をゴールに治療を行っています。高度進展例や再建が必要な症例は、富山大学附属病院歯科口腔外科(顎口腔外科・特殊歯科)との連携・紹介を行っています。

顎関節症・顎関節脱臼

顎関節症ではMRI撮影での関節円板の位置を評価し、病態に応じて薬物療法やスプリントによる保存的治療からパンピングマニピュレーションなどの外科的治療まで行っています。
保存的治療で治療効果が認められない高齢者の習慣性顎関節脱臼に対しては全身状態のリスク評価を行い、外科的治療(関節結節削除術など)も行っています。

デンタルインプラント

保険適応となった広範囲顎骨支持型装置や上顎洞底挙上術などの骨造成を主体に行っています。デンタルインプラント治療を行っていない連携医療機関・かかりつけ歯科医からの紹介で、埋入から上部構造まで行うことがあります。
※通常のデンタルインプラントや骨造成は保険外診療(自費診療)となります
※当科でデンタルインプラントを埋入した後の歯周治療は行っていないため、基本的に連携医療機機関・かかりつけ医での治療をお願いしています

外来診療日

週間担当医のページをご覧ください

医師紹介

朽名 智彦 (くつな ともひこ)

歯科口腔外科部長
医学博士

医学部卒業年
H15年
専門領域
口腔腫瘍・顎変形症・顎顔面外傷・歯科インプラント
資格
口腔外科専門医(日本口腔外科学会)
インプラント認定医(国際インプラント学会)
学会
日本口腔外科学会
日本口腔腫瘍学会
日本顎変形症学会

寺島 龍一 (てらしま りゅういち)

病棟技術部主任部長
栄養科部長、歯科口腔外科医長

医学部卒業年
S60年
専門領域
口腔外科全般・歯科インプラント、口腔領域の慢性疼痛
学会
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
日本臨床栄養代謝学会
モットー
患者さんに寄り添った治療

石坂 理紗 (いしざか りさ)

歯科口腔外科医師

医学部卒業年
H28年
専門領域
歯科口腔外科
資格
日本口腔外科学会専門医
学会
日本口腔外科学会
小児口腔外科学会
顎顔面インプラント学会
モットー
良質な医療