放射線治療科

放射線治療科

診療科の特色

放射線治療科では、手術療法、化学療法とならび悪性腫瘍治療の柱の一つとして、良質な放射線治療の提供を目指しています。放射線治療は手術に比べ肉体的な負担が少なく、機能や形態を温存しながら治療することができます。高齢者やリスクにより手術が困難と診断された方にも低侵襲にがん治療を施すことが可能です。

当科では、2016年4月に、トモセラピーという最先端技術を搭載した高精度放射線治療装置を導入しました。根治照射のみならず、術前・術後照射、疼痛緩和照射、予防照射など幅広い治療目的に対応しており、放射線治療専門医3名(うち2名は非常勤)、診療放射線技師3名(うち1名は医学物理士)、専従看護師1名の体制で安心・安全な放射線治療を提供します。

実績

トモセラピーを導入後、7年間で916件の放射線治療を施行しました。2021~2022年の照射件数は267件です。その原発巣別内訳は、脳・脊髄腫瘍10件、頭頚部腫瘍23件、食道がん15件、肺・気管・縦隔腫瘍68件、乳がん29件、肝・胆・膵がん18件、胃・小腸・結腸・直腸がん20件、婦人科腫瘍6件、泌尿器系腫瘍67件、造血器・リンパ系腫瘍11件です。

また、高精度放射線治療として定位放射線治療を頭部12件、体幹部9件施行しました。

対応疾患

中枢神経
神経膠腫、髄膜腫、脊髄腫瘍 他
頭頚部
咽頭がん、喉頭がん、舌がん、甲状腺がん、頸部リンパ節腫瘍 他
胸部
肺がん、縦隔腫瘍、胸膜中皮腫、乳がん、縦隔リンパ節腫瘍 他
消化器
食道がん、膵がん、肝細胞がん、胆道がん、直腸がん、肛門がん、腹部リンパ節腫瘍 他
泌尿器・婦人科
前立腺がん、膀胱がん、精巣腫瘍、子宮がん、膣・外陰がん 他
血液・リンパ・皮膚・骨・軟部
悪性リンパ腫、骨髄腫、皮膚がん、骨・軟部腫瘍、白血病(全身照射) 他
緩和
脳転移、骨転移、上大静脈症候群、止血照射 他
オリゴメタスタシス

特徴的な検査・主な手術

2016年4月に導入したトモセラピーは、IGRT機能(IGRT:画像誘導放射線治療)を搭載し、強度変調放射線療法(IMRT)に特化した放射線治療装置です。この装置では、毎回治療前にCT撮影を行うので、位置精度が高く、360度のあらゆる角度からの回転照射(ヘリカル照射)により、正確に腫瘍(がん)を狙い撃ちすることができます。

また複雑な腫瘍の形状に合わせて正常臓器を避けながら高線量照射による治療が可能なため、より安全で高い治療効果が得られます。小さな病変に対する定位放射線治療(いわゆるピンポイント照射)のみならず、寝台をスライドさせながら最長130cmの広範囲に連続して治療をする機能を搭載しているので、一般的なリニアックでは困難な多発性腫瘍や多発転移病変など、複数部位に対する同時照射や全身・全骨髄照射も可能です。

医師紹介

今村 朋理 (いまむら ともよし)

放射線治療科部長

医学部卒業年
H15年