うつ病

人は疲れがたまったり心配事があったりすると憂うつになったり、元気がなくTVを見ても面白く感じなかったり、食欲不振や不眠を認めたりすることがあります。この状態が2週間以上続けばうつ病を疑う必要があります。この病気は100人に5人ぐらいが一生の間になると言われ、成人病の糖尿病では100人に10人と比較しても多い病気になります。また、うつ病は「こころのカゼ」と言われるように、正しく対処しないと風邪によって肺炎になるように自殺という不幸な結末にいたることもあります。早期発見、早期治療が必要です。
症状は原因によって少し違いがあり、大きく2つに分けることができます。1つは「エネルギー切れうつ病」ともいえるタイプで、内因性うつ病と診断されるものです。症状は、抑うつ気分や、好きだったことに興味が薄れたり喜べなくなったり、疲れやすくやる気がおこらなかったり、集中力が失われたり、睡眠障害や食欲減退などの症状を認めたりします。朝方に調子が悪いなどの日内変動が特徴もあります。症状がひどくなると、自責的や罪業的になることもあります。もう一つは、「人間関係うつ病」ともいえる、神経症性うつ病です。症状は軽いうつ病と同じ症状ですが、どちらかといえば夕方に調子が悪かったり、イライラすると人を責めたりする(他責的)という違いがあります。
原因は、「エネルギー切れうつ病」には几帳面で真面目で多少融通のきかない性格の人が、転勤、引っ越し、栄転、病気や家庭内の葛藤などのストレスを機に発症することが多いといわれています。 一方、「人間関係うつ病」は、元来人付き合いの苦手な人が、人間関係のストレスで起こる場合が多いといわれています。
治療は原因によって多少異なりますが、体を休めるなど静養を心がけたり、ストレスを増やさないためにも、無理をしたり頑張らないようにすることがまず大切で、自己流を避ける必要があります。抗うつ薬や抗不安薬の投与も必要になる場合が多いので、かかりつけの医師と相談したり、精神科や神経科などの専門医を訪れることが大切です。最近は、抗うつ薬や副作用が少ないSSRIやSNRIという薬物が次々に発売され、日常の生活に支障がなく服薬できるようになってきています。症状が重篤で自殺念慮や自殺企図があり、一刻を争う場合には、電気けいれん療法という治療も総合病院で行うことができるなど、この病気に対する治療が発展しています。