転移性肺がん

肺以外の臓器にがんがあり、かつ肺に転移病巣が見つかった場合に、これを転移性肺がんといいます。肺に転移しやすいがんとしては、大腸がん(直腸がん)、乳がん、腎がん、生殖器がん、また肺がんから別の部位への肺転移などがあります。原発巣(元の臓器のがん)が切除治療などによりコントロールされていて、かつ肺転移の個数が増えない場合には転移性肺がんに対して手術が検討されます。その場合の手術適応は「転移がんの完全切除の可能性がある」ことです。一般的には原発巣の切除手術後に化学療法などの薬剤による全身治療を行い、肺転移病巣に対する手術、そして再び全身治療、というように肺の手術前後を薬剤治療で挟み込むいわゆる「サンドイッチ治療」が行われることが多いです。また、切除した肺の病巣を病理検査で詳しく検証することで、薬剤治療がどの程度効果的に作用していたのか、を知ることにも大きな意義があります。近年は薬剤治療の「効く・効かない」を事前に予測するためにリバイオプシー(再生検検査)を行って、より効果的で無駄のない治療を行うことが推奨されてきています。このような場合には完全切除を行うのが目的ではなく、できるだけ体に影響を与えないようにして病巣の一部を切除してリバイオプシーに提出するための胸腔鏡手術にも当科は積極的に対応しています。