閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)

閉塞性動脈硬化症(末梢動脈疾患)は、高脂血症などによって引き起こされた全身の血管の動脈硬化の病気の中で、お腹にある腹部大動脈から足先の動脈までの血管に障害が起きた病気の総称です。"閉塞性"とは"動脈がつまる事"を意味し、閉塞性動脈硬化症とは、主に足に血液を流している動脈が、つまってしまい血液が流れなくなり、その結果として足が痛くなったり、足が腐ってしまう病気です。
初期の症状としては、日常の散歩や通勤、買い物などで1Kmほど歩こうとした時に、500mほど歩くとお尻や太ももや足のふくらはぎが痛くなって歩けなくなる。そして5分ほど立ち止まって休んだら再び歩けるようになる。という事が繰り返し起こるという「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」という症状が特徴的です。この状態を放置しておくと、歩かない状態で足が痛くなったり(安静時痛と呼びます)、足がしびれたりする症状に進行し、最終的には足先が腐ってくる(下肢壊疽)という状況に陥ります。高齢者で日ごろ歩かないような方では、間歇性跛行の症状を飛び越して安静時痛や下肢壊疽の状態で来院される場合が増えてきています。また、糖尿病などで手足の神経障害の合併症を持っている方では、足先の痛みを感じないため、安静時痛の状態を飛び越して下肢壊疽という状況で発見される場合も増えてきています。
治療方法としては、薬物療法や下肢動脈血行再建手術、血管内治療(ステント留置手術)などがあります。閉塞性動脈硬化症と診断された方は動脈硬化の病気が、たまたま足に行く血管に発生して症状が出た方々であるため、他の血管特に、脳の血管や心臓の血管に動脈硬化の病気を併せ持っている頻度が多い特徴があります。そのため、閉塞性動脈硬化症の治療に際しては、脳梗塞などの脳血管の病気や狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気に注意して治療を進める必要があります。
閉塞性動脈硬化症の早期発見には、足の血圧を測定するという事が勧められています。一般的に足の血圧は腕の血圧より若干高いと言われています。足の血圧が腕の血圧の90%以下に低下している場合は、心臓血管外科や血管外科などの専門医の受診をお勧めします。間歇性跛行などの症状が出てくる場合は、足の血圧が腕の血圧の50%程度まで低下している場合が多く、下肢壊疽などの場合は、足の血圧が測定できないという場合もあります。足の血圧検査は「血圧脈波検査」と呼び、開業医さんで検査できる病院もあります。当院のように「血管ドック」という人間ドックを実施している病院もあります。