深部静脈血栓症

深部静脈血栓症とは、足の静脈の中に血の塊(血栓)が出来て静脈の流れをせき止めてしまう病気です。足のふくらはぎの筋肉内の小さな静脈の中に血栓ができる場合はあまり問題になりませんが、膝の裏側から太もも、お腹の中の静脈に血栓ができた場合は、症状が出てきます。
深部静脈血栓症の症状としては、片足のふくらはぎから太ももにかけて急に腫れあがり、痛みが出現してきます。一般的には痛みのため歩きにくいという状態になります。このような症状は、長時間のドライブや長時間飛行機に乗っているように長時間同じ姿勢を保っていた時や病気などでしばらく寝ている時などによく発生します。症状のほとんどは片足に出現します。両足に症状が出ることは、極めてまれです。また、経口避妊薬や一部の薬剤を内服している副作用で、深部静脈血栓症を発症する場合があります。
治療としては、抗凝固剤の使用による抗凝固療法を行います。症状が強い場合は入院して治療が必要となる場合もあります。
深部静脈血栓症で怖い事は、足の静脈の中に出来た血の塊(血栓)が血流によって心臓まで流れて行き、最終的に肺に引っかかった状態になり肺の血流をせき止めてしまう肺塞栓症を引き起こすことです。肺塞栓症はいわゆる"エコノミークラス症候群"と呼ばれている病気です。肺塞栓症を引き起こした場合は、胸痛、呼吸困難などの症状が出ますが、重症の場合は心停止状態を引き起こし死に至ることもあります。肺塞栓症の治療としては、抗凝固療法や血栓摘出手術などがありますが、いずれにしても専門医のいる病院での入院治療が必要となります。