疥癬

疥癬虫(ヒゼンダニ、大きさ0.4mm以下)が皮膚の角質内に寄生して、そこで産卵・増殖して全身にかゆみを伴う発疹が出現する病気です。疥癬患者の皮膚との接触によってうつることがあり、老人施設や病院で集団発生することもあります。普通の疥癬ではそれほど感染力は強くありませんが、免疫機能が弱い人や誤診により長期にわたりステロイド外用薬を塗布した人では非常に感染力の強い重症型のノルウェー疥癬になることがあります。ここでは、普通の疥癬について説明します。
感染して約1カ月間は潜伏期間といって全く症状がありません。その後、身体のあちこちに湿疹や虫さされのような発疹が出現して、次第に増加します。かゆみは特に夜間に激しくなり、眠れないほどであることが多いです。発疹は湿疹や虫さされとよく似ているため、皮膚科専門の医師でないと診断が難しいことが多いです。湿疹の治療をしてもよくならない、周りに同じような症状の人がいるなどの場合は、疥癬の可能性も考えたほうがよいでしょう。わきの下や外陰部にやや大きめの硬いブツブツがあったり、指の間、手のひら、足のうらに小さい水疱や白色の線状の発疹(疥癬トンネル)があったりすれば、疥癬が強く疑われます。