血液検査

血液検査のことを説明する前に、まず血液について説明したいと思います。

血液は、出血などで体の外へでると凝固します。しかし血液が固まらないようにする薬品の入った試験管に血液を入れて、静かに放置しておくと下記のように、うす黄色の透明な液体と濃い赤色の沈殿に分かれます。液体部分を血漿、沈殿部分を血球と呼びます。

血液検査試験管

血球成分では、赤血球、白血球、血小板があります。血液検査ではこの3つの成分を調べています。右図の多項目自動血球分析装置で、各血球の数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などを測定します。さらに精査が必要であれば、骨髄(血をつくる元のところ)を検査します。
これらは、貧血や白血病などのいろいろな血液疾患の診断には欠かせない検査です。

血漿成分には、たんぱく質、糖、脂肪、ミネラル、血液を凝固させる物質などが含まれます。凝固検査では、この中の血液を凝固させる物質を検査しています。凝固検査には、プロトロンビン時間、活性部分トロンボプラスチン時間、フィブリノ−ゲンなどがあり、手術前などに右図の全自動血液凝固測定装置で検査します。

血球の働き

赤血球
赤血球
直径が7〜8μmの中央がくぼんだ円盤状をしています。
体内で酸素と炭酸ガスの供給と排出をしています。
肺で酸素と結合し、体内の各組織に酸素を届ける働きをします。寿命は、約120日位で、寿命がくると肝臓や脾臓で壊されます。

血小板
血小板
直径が2〜4μmの小さな細胞です。
血管が破れた所にくっついて血を止める(止血)働きをする血球です。
血管が破れて出血すると、そこに集結して血栓をつくり出血を止めます。
その寿命は、短く数日〜一週間くらいしかありません。止血機構に重要な役割を果たします。

白血球
白血球は、赤血球より大きく、外から侵入してきた細菌やウイルスなどを殺す働きをしています。主に生体の防御機能をつかさどっています。
その寿命は、約2週間位です。顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球に分類され、病気によって、増減する種類が異なります。これを調べるのが、血液像検査です。

好中球
好中球の画像
細菌などの異物の貪食、殺菌作用があり、感染の防御に重要な働きをします。

好酸球
好酸球の画像
アレルギ−疾患や寄生虫疾患などで増加して毒素を中和したりします。

好塩基球
好塩基球の画像
顆粒状にヒスタミン様物質を含み、アレルギー反応に関与しています。

単球
単球の画像
炎症や細胞性免疫に重要な役割を果たします。

リンパ球
リンパ球の画像
進入した異物を直接攻撃したり、攻撃する抗体をつくったりして異物や腫瘍細胞から生体を守っています。