生化学検査

生化学検査について

血液中の赤血球や白血球等を除いた血清又は血漿で分析を行います。
検査内容は肝臓、腎臓、膵臓、心臓など各種臓器の病気の診断、進行程度、治療効果などを判定する為の検査です。
当検査室では、これらのデータを30〜60分で診療へ報告しています。
次に主な検査を紹介します。

肝機能関連検査

  1. AST(GOT)、ALT(GPT)
    肝機能をチェックする代表的な酵素を調べる検査です。
    ASTは心臓、肝臓、腎臓に多く含まれ、ALTは肝臓にそのほとんどが含まれています。そのため、これらの臓器に障害が起き、細胞が壊れると酵素が血液中に出てきます。
    [基準値]
    AST:12〜31 IU/L
    ALT:8〜40 IU/L
  2. LD(乳酸デヒドロゲナーゼ)
    LDは糖がエネルギーに変わるときに働く酵素で、体中の細胞に含まれています。この酵素の測定によって肝臓の病気やガンを見つける手がかりとなります。一般的に急性肝炎、心筋梗塞、白血病などで高くなります。
    [基準値]
    110〜210 IU/L
  3. ALP(アルカリフォスファターゼ)
    肝機能や黄疸の鑑別、また、骨の新生状態や悪性腫瘍の有無などを調べます。
    [基準値]
    100〜330 IU/L
  4. γ-GT(γ−グルタミルトランスフェラーゼ)
    肝臓、腎臓 膵臓に多く含まれている酵素です。肝臓や胆道に障害があるとき高くなり、アルコール性肝障害を発見する手がかりとなります。
    [基準値]
    男性:11〜73 IU/L
    女性:9〜49 IU/L
  5. T-Bil(総ビリルビン)
    黄疸の有無を鑑別する事が出来ます。
    ビリルビンは赤血球中のヘモグロビンが分解してできる黄色い色素で、肝臓で作られ胆汁に多く含まれています。肝臓や胆道に障害が起きると、ビリルビンは胆汁の中に流れ出ず、血液中に入って黄疸が起きます。
    [基準値]
    0.2〜1.2 mg/dl
  6. T.P(総たんぱく)
    たんぱく質は、食物から摂取された物が細かく分解され、多種類のアミノ酸となり、身体を構成し維持するうえで最も重要な物質です。これらの総量を総たんぱく質といいます。栄養状態の悪いとき、肝機能障害や腎機能障害などで値は変動します。
    [基準値]
    6.7〜8.3 g/dl
  7. ALB (アルブミン)
    アルブミンは様々な物質と結合し、栄養素を全身に運びます。また、身体のバランスを維持する重要な役割もしています。栄養状態の指標になります。
    [基準値]
    3.8〜5.3 g/dl

腎機能関連検査

  1. Cr(クレアチニン)
    クレアチニンは老廃物の一種で尿中に排泄されます。腎臓機能を評価する代表的な検査で、腎臓の働きが悪くなると血液中に増えてきます。
    [基準値]
    男性:0.6〜1.1 mg/dl
    女性:0.4〜0.8 mg/dl
  2. BUN(尿素窒素)
    体内でエネルギー源として利用されたたんぱく質の燃えかすで、その大部分は尿中に排出されます。腎臓の働きが悪くなると血液中に増えてきます。その他、高たんぱく食、消化管出血、脱水などでも高くなります。
    [基準値 ]
    8.0〜22.0 mg/dl
  3. UA(尿酸)
    魚・肉類の内蔵などに多く含まれています。通常は老廃物として尿中に排出されますが、血液中の濃度が高くなると結晶になって関節にたまり痛風発作を引き起こします。また、腎結石の原因にもなります。
    [基準値]
    男性:3.2〜7.7 mg/dl
    女性:2.7〜5.8 mg/dl

糖尿病関連検査

  1. GLU(血糖・ブドウ糖)
    血糖は血液中のブドウ糖の事で、体を作っている細胞のエネルギー源となる大切な物質です。膵臓で作られるインスリンは、細胞が血液中のブドウ糖をうまく取り込み、エネルギーとして利用することを助けるホルモンです。しかし、インスリンの作用が不足すると血液中のブドウ糖をうまく利用できなくなり、高血糖の状態になります。この状態が持続することを糖尿病と言います。
    [基準値]
    70〜109 mg/dl
  2. HbA1c(ヘモグロビンA1c)
    血糖コントロールの指標の一つです。
    この検査では過去1〜2ヶ月間の血糖のコントロール状態を調べることが出来ます。
    [基準値]
    4.3〜5.8 %

脂質関連検査

  1. T−C(総コレステロール)
    細胞膜の形成、ホルモンや胆汁酸の合成などに利用され、身体にとって大切な成分です。しかし、多くなると動脈硬化などの原因にもなります。
    [基準値]
    150〜220 mg/dl
  2. TG(中性脂肪)
    食べすぎ、飲みすぎなど食事の影響が大です。腸から吸収された炭水化物・糖分・脂肪などの栄養素で中性脂肪が作られ、血液の流れに乗って全身に運ばれエネルギー源となります。余分な中性脂肪は、皮下脂肪や内臓脂肪となります。
    皮下脂肪...お腹の表面の皮下に溜まる脂肪のことで、内臓の保護やエネルギー源として蓄積されます。
    内臓脂肪...皮下より深い内臓それぞれの周囲につく脂肪のことです。これが蓄積するとインスリンの効きを悪くする物質を分泌し、血液中の糖や脂肪が溜まりやすく糖尿病や脂質代謝異常症になる可能性が高くなります。また、LDLコレステロールの分泌が過剰となって動脈硬化が促進し、心筋梗塞や脳梗塞などの原因ともなります。
    メタボリックシンドローム(内臓肥満症候群)とは肥満・高血圧・糖尿病・脂質代謝異常症が起こりやすい状態を言います。
    [基準値]
    30〜150 mg/dl
  3. HDL−C(高比重リポ蛋白コレステロール)
    血管壁に沈着したコレステロールや細胞中の余分なコレステロールを除去し、動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールと言われています。血液中の総コレステロールに対してHDLコレステロールの割合が高いほど動脈硬化性疾患に対する危険性が低くなります。
    [基準値]
    41〜95 mg/dl
  4. LDL−C(低比重リポ蛋白コレステロール)
    一般的に悪玉コレステロールといわれ、高くなると動脈硬化性疾患の原因のひとつになります。
    [基準値]
    140 mg/dl以下

膵機能関連検査

  1. AMY(アミラーゼ)
    アミラーゼは膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素で、膵臓にもっとも多く含まれています。急性膵炎などの膵臓に炎症が起きると、血液や尿にアミラーゼが多く出ます。
    [基準値]
    40〜130 IU/L

その他

  1. Na・K・Cl(電解質)
    人の身体の水分は体重の約6割を占め 電解質(Na・K・Cl)等が存在し、一定のバランスを保ち生命活動を維持しています。
    [基準値]
    Na:138〜146 mEq/L
    K:3.6〜4.9 mEq/L
    Cl:99〜109 mEq/L
  2. 浸透圧
    体液の濃縮や希釈などの状態を知るために測定します。
    [基準値]
    279〜294 mosm/L
  3. CRP(C反応性蛋白)
    炎症反応があるときに上昇します。生体内の炎症や組織障害の存在の有無と程度を推測するための検査です。
    [基準値]
    0〜0.30 mg/dl
  4. CK(クレアチンキナーゼ)
    筋肉・心臓・脳に含まれる酵素で筋肉・心臓などの病気で高くなります。
    [基準値]
    男性:65〜275 IU/L
    女性:50〜170 IU/L
  5. Fe(血清鉄)
    血清鉄を測定する事により、鉄代謝の欠乏や過剰が推測できます。貧血などの時に検査を行い、貧血の程度や種類がわかります。
    [基準値]
    男性:50〜170 μg/dl
    女性:40〜160 μg/dl